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MarkeZine Day 2024 Autumn

一過性のブームで終わらせない 「ヤクルト1000」シリーズのブランド戦略

停滞していた乳酸菌カテゴリをけん引

 ヤクルト1000シリーズが売れる環境をつくるため、ヤクルト本社ではマスプロモーションの実施やWebサービスの展開、新規顧客との接点づくりなどにも注力した。

 既存商品のテレビCMでは家族を想起させるクリエイティブが多かった中、ヤクルト1000シリーズのテレビCMでは時代に即したヘルスクレーム商品としての機能性や先進性を伝えるクリエイティブを制作。「家族向け」「伝統」「信頼」「安心感」などのキーワードが従来のブランドイメージを形成していたが、新商品の先進性を伝えるテレビCMにより、ブランド全体に対して新たなイメージを抱く生活者も増えたそうだ。

 また、新規顧客の開拓を目指してインターネット注文サービス「ヤクルト届けてネット」での取り扱いも開始。ほかにも、寝具メーカーとのタイアップ企画でメーカーの店舗を訪れた方へのサンプル配布、ターゲット層を考慮した高級スーパーおよび百貨店での一時的な販売、チャネル拡大を狙った自動販売機での販売など、顧客接点を増やすために様々なプラスアルファの活動が行われた。

 様々なチャレンジの結果、どのような成果が得られたのだろうか。工藤氏によると、プロバイオティクス飲料市場における売上は伸長することができたそうだ。中でも停滞していた乳酸菌カテゴリでは、他カテゴリを逆転して市場を牽引するような立場になったという。メーカーシェアも拡大した一方「競合も異なる戦略でシェアを伸ばしつつあるため、プロバイオティクス飲料市場全体の盛り上がりを感じています」と工藤氏は語る。

購入層の若返りやブランドイメージの転換にも成功

 顧客数は特に店頭で大きく伸び、同社が最も課題を感じていた若年層の取り込みにも成功したという。「これまでは宅配チャネルがメインということもあり、主要な購入者の年齢層は高かった」と前置きした上で、工藤氏は続ける。

「2022年度は20代を中心に若年層の割合が増え、全体的に購入層が若返りました。店頭用のY1000を発売した当初は、30〜50代のビジネスパーソンを対象顧客として想定していましたが、実際には20代の方々からも手に取っていただくことができました」(工藤氏)

 またヤクルト1000シリーズの発売に起因するシャワー効果も見られたそうだ。「ブランドイメージと企業イメージのどちらをとっても、生活者からの印象は好意的なものへと変化していった」と工藤氏は振り返る。

 ただ、予想を上回るヒットによって課題も顕在化した。需要高に供給が追い付かず、長く続いた品薄状態は反省点だったという。そこでヤクルト本社は2024年1月に新しい工場で生産を開始し、生産体制を増強。同年4月よりプロモーションを再始動した。

「発売直後の大きな波は落ち着きましたが、まだまだピークは迎えていないと思っています。引き続き一人でも多くの方にYakult 1000やY1000を知っていただき、手に取っていただきたいです」(工藤氏)

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この記事の著者

宮野 圭(ミヤノ ケイ)

コンサルティングファームにてデータアナリティクスを通じた業務改革に従事する傍ら、ライターとしても活動。エンタメ領域やテクノロジー領域のメディアにて執筆経験あり。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47022

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