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【例えば】AIに罰ゲームのアイデアを聞いて、ありきたりな「ケツバット」が返ってこないようにする方法

「放送作家・白武ときおAI」はどう作る?

藤平:深津さん、白武さんのように企画が得意な「放送作家・白武ときおAI」を作るなら、何をインプットし、どんなプロンプトを設定すればいいのでしょうか?

深津:ひとまず、白武さんが過去に作った企画書を50~100枚ほどいただいて、AIに学習させたいですね。そこから白武さんの企画のパターンを理解させ、その後に「次の企画はどうなる?」とプロンプトを設定していく形になります。

藤平:倫理的な問題は一旦置いておくとして、既存の企画をAIが学習すれば、理論的には作れるかもしれないということですね。

深津:理論上は可能です。ただ、AIは「平均的な答え」を出すことが得意なだけで、その程度ではご本人のような素晴らしいアイデアを生み出すことは難しいです。精度を上げるなら、やはりインプットの量を増やすアプローチになりますかね、たとえば5,000〜1万枚の企画書をトレーニングに使用すれば、より高度な企画を生成できる「白武AI」を構築できるかもしれません。

 ただし、そのAIは「生身の体験」をしていないですし、体験(インプット)が進化することはないので、そのあたりが企画の精度に影響を与える課題となりそうです。

藤平:もしそんなAIができたら、白武さんはAIと一緒にブレストしたいですか?

白武:そうですね、したいです。面白そうだと思います。

藤平:僕はまだちょっと怖い気もしています。AIが大量のコピーや企画を即座に生成できるようになった時、人間はどんな役割を果たして何を生み出すのか。正直、少し絶望してしまいそうです。

白武:そういう風に思っている人間の淘汰が進むかもしれないので気を付けてください(笑)。ただ、「人間が生んでいるからいいもの」も残るんじゃないかなと思います。AIが作った大量のコンテンツを、人間は本当に面白いと感じられるのか。「生身の人間がやっている」ということに価値が出るようなことはあるかもしれません。

 僕は、早くAIがいろんな仕事を代替してくれて、人間が今のように忙しく働かなくても生活できる世界になればいいなと思います。

藤平:もしAIが放送作家としての役割を担えるようになった場合、企画や制作をすっぱりやめることもできそうな感じですか? それとも、どこかで「作る」行為に未練を感じそうですか?

白武:自分や人間がやることの良さが出ない作業なら、仕事としては、未練なくやめられると思います。ただ、AIのほうが強いにも関わらずチェスで遊ぶみたいな感覚で、純粋に企画などを作ることが楽しかったら続けるのかもしれません。

 たとえば、テレビゲームやボードゲームも、人と遊ぶのも楽しいし、AIと対戦しても十分楽しめます。もし、面白い友達としてAIと一緒に企画や制作を楽しめるなら、新しい状況に満足して続けている気がします。

藤平:企画が好きなのか、それとも仕事だからやっているのか。これも自分的に痺れる問いです。

深津:現状の付き合い方に関しては、AIは「ど真ん中」を出すのが得意なので、人間が奇抜なアイデアを考え、そのアイデアを整理してもらう形が効果的だと思います。ミステリーならトリックやラストシーンなどの重要な部分を人間が書いて、AIにはその過程のシーンを任せるといった形で協力するのが、この先訪れる未来かもしれません。

藤平:未来予測があまりにも難しい領域ですが、まずはお二人のように「AIを楽しむ」オープンな態度でいることが大事だなと思いました。「企画・発想」という意味では、「クリエイティブで正確なプロンプトを記述する力」が、しばらくは大事になりそうですね。上限を引き上げ、極論を掛け合わせ、新しい視点と出合うために思考錯誤してみたいと思います。白武さん、深津さん、本日はありがとうございました。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/01 09:00 https://markezine.jp/article/detail/47027

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