Meta、サイカ、グロースXより3名がMarkeZine Dayに登壇
松本:MarkeZine Day初日、オープニングとも言えるこちらのセッションでは、『「戦略的な」効果検証が必要な時代へ。データドリブンマーケティングで「いま取れる選択肢」と「利点・欠点」を知る』というテーマでお話をしていきます。私はモデレーターを務めます、グロースXの松本健太郎です。まずは、みなさんの自己紹介から始めましょうか。
田中:Meta日本法人Facebook Japan マーケティングサイエンスの田中です。私のいるチームは、データ分析やコンバージョンリフトなどの効果検証を通じてクライアント様のビジネス成長をお手伝いするミッションを担っております。その中の活動の一つとして「MMMを民主化する」というビジョンのもと、オープンソースのMMMモデル「Robyn(ロビン)」の開発を進めています。
平尾:サイカの代表を務めています、平尾です。弊社は2012年に創業したデータサイエンス企業で、マーケティング領域を主軸に事業を展開しています。我々もMMMはあらゆる企業が取り組むべきものだと思っており、この民主化を進めているMetaさんと目指すところや想いは同じです。長年MMMの重要性を説いてきており、これまでMMM導入・実施のご支援を270社以上で行ってきました。
意外と正しい効果検証ができていないことも多い
松本:それでは、本題に入っていきましょう。まずは、効果検証の観点からマーケティングにおける現在の課題点を整理していこうと思います。
平尾:現状の課題としては、やはりサードパーティCookieの廃止、および個人情報保護の規制がとても大きな変化です。個人を無断で追うことが不可能となるのは、分析家サイドとしてはかなりキツい状況ですね。ただ、こうした状況になった今、企業やマーケターの45%が「個人情報を全く使わない分析手法を確立したい」と考えていることもわかっています。ひとつ進化が求められているタイミングと言えるでしょう。
田中:具体的な話になりますが、クライアント企業と関わる中で、効果検証まわりで散見される課題を挙げると次の4つがあります。
1.トレンドやイベントの時系列を無視してキャンペーンの効果を測ってしまっている
2.ABテストや実験的手法(※)を使わずに、不正確な情報を基にジャッジしてしまっている
3.ラストクリック偏重の傾向が強く、少ない情報源や評価指標を基に意思決定をしてしまっている
4.すべてのメディアの動画広告を視聴完了率だけで評価してしまっている
※実験的手法とは、医薬品などの分野で行われるような、ターゲットを実験群(広告を見せる人たち)と対照群(広告を見せない人たち)へと無作為に分け、二群間で効果を比較しリフト(純増効果)を測定する方法である
これらの対策としては、やはりビジネス目標を踏まえた戦略立案が必要です。複数の効果測定手法を組み合わせ、施策の良し悪しを総合的に判断することの必要性が高まっていると感じています。
松本:たしかに、その4つの課題はあるあるかもしれませんね。自社の都合や仕組みに基づいて効果検証を行い、誤った判断をしてしまう。こういった問題が、実は現場ではよく起こっているように思います。