結論、商談や成約に繋がらないブランディングには意味がない
大前提、ブランディングとは、ロゴやサービスを改変したり、タレントを使ってテレビCMを売ったりすることだけではありません。BtoBにおいては、タクシー広告やWeb動画広告を打って大量のリーチを獲得しても、その先にある顧客との直接的な接点(商談時など)で適切なブランドメッセージを伝えられていなければ意味がありません。
あくまでも、自社製品やサービスに関する固有のブランドイメージを確立し、価値を上げていくプロセスとして、ブランディング活動を行い、顧客との接点である営業活動や商談プロセスに反映することが最重要となります。
では、ここからどのようなブランディングを行えば、営業強化に繋がり、さらには契約率の向上に繋がるかについて解説します。
ブランディングも効果検証は可能である
BtoB企業のブランディングと聞いて、皆さんが最初に思い浮かべるのは、どのような施策でしょうか。コーポレートサイトやサービスサイトのリニューアル、またはパーパス動画の制作などでしょうか?
たしかに、近年はBtoB企業でもパーパス動画の制作などが一般的になってきました。また、それらのアウトプットに至るまでのビジョン・ミッション・バリューや、企業の存在意義であるパーパスを言語化していくプロセスが、ブランディングを行う上での基本になるのは間違いありません。
一方で、それらのアウトプットが結果的に、どのように事業成長に寄与しているかを数値化し、定量化できている企業は非常に少ないと感じています。採用に向けた企業ブランディングであれば、採用ページへのアクセスや応募人数などで比較的KPIを設定しやすいですが、売上や利益のようなビジネス成長への貢献に関しては難易度が高いと感じられている企業が多いでしょう。
結論、BtoB企業のブランディングにおいても、売上と利益への貢献を数値化し、KPIカすることは可能です。反対に、売上と利益への貢献がないアウトプットについては、ブランディング施策として機能していないと考えるべき、とも言えます。
売上・利益をKGIにブランディングの効果検証を行う「ブランド・パワー」とは
私が推奨する「BtoB企業におけるブランディング」は、自社のプロダクトやサービスの売上・利益を上げるために、自社のターゲット顧客に対して「ブランド想起」と「ブランドイメージ」を伝えていくプロセス全般を意味します。これらのブランディング活動が、営業が商談をする際のアポイントの獲得率や最終的な成約率に大きく影響してくるのです。
・ブランド想起:ブランドに対する認知の「量」と「質」を測る指標。ブランドがどれくらいの顧客に知られているかという認知の量と、ブランドを認知している顧客がブランドにどのくらいの興味を持っているか、購買の選択肢に入ることができるほどの良質なブランド認知になっているかなど、認知の質を測る指標に分かれる。
・ブランドイメージ:ブランドが、どのように顧客に認識・理解されているかを示す総合的な指標。ブランドから連想されるイメージ、たとえばBtoBのサービスであれば、「大手に選ばれている」「セキュリティに強い」「最新のテクノロジーを保有している」といったイメージの強弱を競合と比較しながら数値化していく指標。
この「ブランド想起」と「ブランドイメージ」をベースに、ブランドに対する「顧客認識の状態」を数値化し、他社と比較できる状態にしたスコアを私は「ブランド・パワー」と総称しています(参考『ブランド・パワー ブランド力を数値化する「マーケティングの新指標」』)。

後編では、「ブランディングも効果検証できるもの」という前提を踏まえて、BtoBにおいて意味のあるブランディング戦略について、そのポイントを解説したいと思います。