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「スタサプENGLISH」のCM開発に学ぶ!調査ドリブンと面白さを両立したクリエイティブを導くマーケターになるには

CM制作のチームワークにおいて、マーケターがすべき「3つのこと」──言語が異なるプロと協働するために

オリエン自体を「ディスカッション型」にしよう

MZ:これまで制作プロセスをお伺いしてきましたが、オリエンテーションで工夫されていることはありますか?

進藤:通常のオリエンは目的や調査結果、いわゆる「クリエイティブブリーフシート」を展開して終わりだと思うのですが、「スタサプENGLISH」ではオリエン自体を議論ベースで進めるようにしています。

 前述の一般的なオリエンの型に加えて、クリエイティブを成立させる要件や具体的な仮説について、オリエン時から一緒に検討を開始します。そうすることで、今回のCM制作でどこを重要視しているのかという視点の交換や、逆に「この辺りは考えていく際に詰まりそう」というポイントなど、オリエンの不足を早期に検知できるようになります。

 そうした議論の内容をスムーズにクリエイティブへ落とし込めるよう、事前に議論すべき項目をまとめた「ディスカッションシート」も作るようにしています。

MZ:議論するポイントの設定は、どのようにしていますか?

進藤:企画の中で一番肝となる部分を設定するよう意識しています。今回であればいくつか有ったのですが、たとえばプロダクトの機能を訴える「機能訴求型」ではなく、CMとして印象付ける「印象獲得型」のCM制作をする際に、英語学習領域において何が成立要件となるのか、などを議題にしました。

 さらに、CMセオリーを重視した「歌や演出の強さ」に振ったパターンと、英語学習者の共感を獲得する「まじめ路線」のどちらにすべきかといった仮説議論まで、クリエイティブブリーフの提示と同時に踏み込んで行っています。

奥田:オリエンにそのまま出さないものの、この時点でCM仮説、つまり前回お伝えした字コンテを簡単にマーケター自身も書いておくのがおすすめです。オリエン自体も議論の場、いわば最終仮説まで考えるシミュレーションの場ですが、事前に問いを立てる時点で最終仮説まで考えてみることが問いの品質を上げることにつながります。そうすると、意外にもマーケター側のオリエン自体が“イケていない”ことに気づけるようになります。

 すなわち提案の質を問う前に、マーケター自身の問いの質、オリエンの質自体を問い直すことが必要だと思います。そして、それは何も一人で全部やる必要はありません。オリエン内容自体も議論対象として、CM制作のプロ目線からのツッコミを受け、チームで考えていけば良いのではないでしょうか。

進藤:そうですね。あとはオリエンのタイミングで「より面白く見えるようにするにはどうすると良さそうか」などを社内で話し合い、仮説として場に出すこともあります。

 ただ、その場合もそのまま受け取ってもらうのではなく、面白いと感じたポイントや視点をメタ情報として例示し、チームで視点や意見の交換をする接点を増やす材料、つまりこれからチームで目指すクリエイティブジャンプのための「土台」にしています。

MZ:お二人とも、ありがとうございました。次回は連載の最終回として、実際にCM制作に関わったクリエイティブチームの方々をお呼びして話を伺っていきます。

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この記事の著者

三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)

早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/12 08:30 https://markezine.jp/article/detail/47171

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