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MAUが前年比+9%!店舗接客にも活きるアプリへ ユナイテッドアローズが語るアプリ刷新の裏側・後編

「プロジェクトの推進力=主体性」をどう確保する?体制づくりへの工夫

島田:「アプリを良くすることで、顧客体験全体を向上させる」ということが、今回のプロジェクトのテーマでしたが、その実現には、ECとアプリでの顧客体験の統一が重要になります。

 「これはアプリではできないんだ」「これはECではできないんだ」とならないようにすることが大切だと思っていたので、「アプリだけの顧客体験」を考えるのではなく、「アプリを通じて顧客体験全体を向上していく」という点を提案書のメッセージに盛り込みました。

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BIPROGY株式会社 インダストリーサービス第一事業部 営業二部 コマース&サービス営業所 島田佳奈氏

━━なるほど。ただ、実際に行うのはかなり難しそうです。プロジェクトはどのような体制で進めたのでしょうか。

佐々木:パートナーを検討するコンペの結果、開発全体はBIPROGY様にお願いすることになり、UI/UXに関しては別の企業にも入っていただくことになりました。

 なお、今回のプロジェクトは「アプリリニューアルは3回に分けて行う」ということになり、短期間で要件定義から開発まで展開する形です。言うなれば、ウォーターフォール開発に一部アジャイルの考え方を組み合わせたような形で、そのハンドリングは困難になる印象でした。

 そこでBIPROGY様からはプロジェクトマネージャーとして島田さんに就いていただき、PMOをBIPROGY様とUAそれぞれに置くことに。そしてプロジェクトの途中でも一度振り返りをし、議論を交わしながら進めました

岩井:BIPROGY様がUAのシステムや基盤、そして会社について以前からご存じだった点も非常に良かったと思います。アプリリニューアルと口では簡単に言えますが、ECのリプレイスも絡んでくる以上、社内的にも多くのスタッフが関係してくる。そのため、UAのことをよく把握してくださったことが大きな助けでした。お客様へのご迷惑がなるべく最小限になるよう進められたので、結果を見るとやはりBIPROGY様一択だったと思います。

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株式会社ユナイテッドアローズ OMO本部 本部長 岩井一紘氏

表示速度の向上で商品閲覧数は改修前後比147% アプリ経由の売上も好調

━━そして2024年の6月、そして10月に段階的リニューアルを実施していったわけですね。

佐々木:はい。繰り返しになりますが、Webビューベースのアプリからネイティブアプリ化による速度向上を目指し、6月は商品一覧機能や店内商品のバーコード読み取り機能をネイティブ化して、10月はUI/UXの変更を含めてさらなる機能拡充を行いました。直感的にわかりやすい画面で、店舗での会員証提示などよく使うメニューをトップに配置したり、ヘッダー/フッターのメニューを絞り込んだりし、ストアブランドやスタイリングのお気に入り登録などの新機能をリリースしています。

2024年10月のリリースより。デザインとUI設計の刷新により、情報収集をより簡単に。わかりやすくシンプルな操作性となった(クリックすると拡大します)

━━現時点でどのような成果があるのか教えてください。

佐々木:アプリ経由の売上は好調で、UIUXの変更前後2週間で前後比105%となっています。また表示速度についてですが、その成果についてUAではアプリユーザー1人当たりの商品閲覧数で見ています。理由はシンプルで、表示速度が上がるとスムーズに商品が表示されるようになり、それにともなって閲覧数が上がると予測できるからです。商品閲覧数もリニューアル前後で比較したところ、前後比147%という結果が出ました。

 商品閲覧数というのはいわば「商品を手に取った」という感覚で、前編でお話しした「お客様のシグナル」が強く表れている状態です。そのため「商品閲覧数が上がる=売上が上がる」という相関関係があり、閲覧された商品数で言えば、リニューアル前後ではAndroidユーザーで+4商品、iOSユーザーで+2商品の違いがあります。そもそも、商品の魅力や在庫アロケーションなど、様々な要素があって最終的な売り上げにつながるため、一概には言えませんが、アプリ経由の売上だけで見れば、11月は前年比125%となっており、公表しているように売上は好調です。

━━それは素晴らしい成果ですね。ちなみに、現時点で見つかっている改善点などありますか?

岩井:ユーザーからいただくアプリへの評価にはまだ課題があります。特に10月のリリースでは抜本的にUI/UXを変更したため、使い勝手が大きく変わったことに対する戸惑いや不安がレビューに反映されているようです。

 もちろんある程度は想定しており、リニューアル前から動画コンテンツを展開したり、どこに何の機能が移動しているか伝えたりと、お客様の変化への戸惑いやそれによる離脱を防ぐための対策は可能な限り行ってきました。ただ、リリース後にユーザーの皆様からいただくご意見に向き合うことも非常に重要だと考えています。これは私たちが持つ接客への考え方にも通じるのですが、「お客様からのお声に返答しない」というのは当社の社是と異なる対応なので、レビューに関しては佐々木のチームを中心にすべてお答えしていくことにしており、このスタンスは変えずに向き合っていこうとしています。

 お客様からの評価を利用継続という側面で見られるMAUがありますが、これも私たちが重要視している指標です。ダウンロード数を伸ばすことよりも、アクティブユーザーを増やすことを意識してきました。一般的にはアプリリニューアル後にMAUが落ちるケースも多いようですが、我々の場合は順調に推移しており、リニューアル後と前年を比べて前年比109%と上昇が見られています

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店内における顧客行動を可視化してOMOを推進

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:BIPROGY株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/31 15:58 https://markezine.jp/article/detail/47809

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