年初にスタートをどう切るか
予測3.Go to Market戦略の必要性が高まる
BtoBマーケターの方々との交流から、多くのマーケターが「戦略と戦術の整合性」に悩んでいると感じます。
施策で頭打ちに陥ってカスタマージャーニーへと視野を広げる方はいますが、多くの方がその一段の上のGTM(Go to Market)戦略まで視座を高められるフェーズに入ったのではないでしょうか。2024年にRevOpsが盛り上がり、部門間のプロセス連携というオペレーション(How)が最適化された流れを受けて、2025年は製品の販売戦略(What/Who)に対する再考・強化が進んでいくと予測します。
厳密に言うと「GTM戦略=製品の市場投入時の戦略」という定義になりますが、便宜上は次のように捉えてしまっても良いと個人的に考えています。
製品の販売計画・戦略について、セールス、マーケティングなどの部門長で協議し、TAM/SAMに対する自社の売上やシェア、注力する市場セグメント、製品のポジショニング、チャネル戦略、セールスマイルストーン上の課題と対策を定期的にレビューするもの
予測4.戦略設計レイヤーの人材不足が進む
COVID-19の流行にともない、Web会議やウェビナー、Webでの情報収集が加速度的に普及しました。その結果、BtoBマーケティングに対する期待や需要が、営業DXの一環として高まったのも事実です。
一方で、その需要に対応できるほどBtoBマーケティング人材の裾野が広かったわけではなく、慢性的な担い手不足が続いています。これを受けて、OJTも兼ねた伴走型のマーケティング支援を展開するエージェンシーが増えるなど、業務委託の選択肢は増加しているようです。
伴走型エージェンシーの提供価値の一つに「マーケティング戦略を描ける人材の育成」があります。しかしながら人材育成は長期戦であり、育成の成否は育成者の経験に依存します。また、マーケティングリテラシーが全体的に低い企業の場合、BtoBマーケティング部門の管理職は部門のミッション・役割の設計のみならず、社内理解を形成する必要があります。この活動には強いリーダーシップと忍耐力が求められるでしょう。私見でしかありませんが、このような経験値を持つベテラン勢が、エージェンシーに多数在籍するとは思えません。
このような状況で、個人的に注目している動きがあります。外資系企業でBtoBマーケティングの管理職を経験した人が、日本企業に転職したり、自身のナレッジを発信したりする動きです。加えて、BtoBマーケターのコミュニティーによる交流会も盛んになってきました。このような交流会は若手やプレーヤーメンバーが中心になりがちですが、フラットかつ双方向な場にベテラン勢が参加すれば、管理職レイヤーのナレッジが循環するはずです。発展的な機会を期待・実現できる段階に入りました。
まとめ
以上が2025年の予測です。2025年に完結しない中期的なトレンドも含めていますが、複数年に亘るであろう変化への段階的な対応・準備も重要であるという考えから、まとめさせていただきました。
「日本のBtoBマーケティングは、米国より10~15年も遅れている」という意見を拝聴することがあります。日本に流通しているマーケティングテクノロジーやプロセスについて、そこまでの時代差を感じることはないものの、課題に対する解決策の自律的な試行錯誤とその速さ、そして組織的なプロセス化のマインドセットが日米の大きな相違点であるように感じます。
また、米国ではこれらのナレッジがマーケティングテクノロジーやコンサルティングファームによってモデル化されています。さらに、ネットワーキングと人材の流動化によってダイナミックに展開されるエコシステムが、先述のマインドセットを支えているのも事実でしょう。ともあれ、BtoBマーケターとしてのキャリアを進む以上、2025年の初頭にご自身のマインドセットや将来的な変化に対応するイニシアティブを再確認してみてください。
