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SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

2025年のSNSトレンド予測、攻略法を解説!キーワードは「居場所の多様化・細分化」

新興SNS攻略のキーワードは「居場所の多様化・細分化」

 ここまで、注目すべき4つのSNSを紹介しました。大手プラットフォーマーに比べるとユーザー数は見劣りしますが、どのSNSにも熱狂的なユーザーやコミュニティが存在します。ここからは、新興SNSが注目を集めた背景にある生活者ニーズを考察し、その延長上にある今後の生活者とSNSの関係性、およびそのトレンドを考えます。

 まず、生活者がSNSに求めるニーズとして「居場所の多様化・細分化」が進行していくというのが筆者の考えです。

 1つのSNS、1つの人格に閉じず、マルチなプラットフォーム且つマルチなアイデンティティで、自分にとっての多様な居場所を求め続けるというのがニーズの根底にあると捉えられるからです。

 たとえば、先述の4つのSNSでは、次のような居場所設定・ニーズ背景に整理できます。

BeReal 居場所設定:身近な人との比較の無い疲れない場所

ニーズ背景:もはやオープンな社会環境になっているXやInstagramでは本来の自分を存分に出せない。本当に仲のいい友達にだけリアルな自分を気兼ねなく出したい。

whoo 居場所設定:親密な人との関係性を便利にする場所

ニーズ背景:LINEやメッセンジャーだけでは不便。リアルでも交友のある人とのリアルな交際を便利にするツールとして使いたい。また、親が子供の安全確認のために使い出したGPSサービスとして中高生にとってもともと身近。

VRChat 居場所設定:リアル社会とは異なる新たな居場所

ニーズ背景:現実世界ではありえない理想・空想の自分で社会的な関係性を築いてみたい。また、現実世界での性別と仮想現実世界でのアバターの性別が異なる現象も多く発生(VRユーザーの物理性別は男性82%だが、物理男性が使うアバターの性別は女性が75%という調査結果も)。

Bluesky 居場所設定:中央集権から解放された場所

ニーズ背景:大手プラットフォームによる情報統制・印象操作の可能性から完全に解放されたい。自分のどの情報の活用をどのSNS・どの機能で許可するか、自分の情報は全て自分で管理したい(=SSI自己主権型アイデンティティという考え方)。

 このように、自分の居場所に対して多様なニーズがあり、SNSだけでなく人格すらも1つに閉じず、マルチなプラットフォーム且つマルチなアイデンティティで、複数の居場所を求めていく流れとなり、極端な集中状態から徐々に拡散していくのではないかと予測しています。

 2024年12月には新たな国産SNSとしてmixi2がリリースされました。「優しい、ほっこりとしたSNS」と銘打っており身近な空間と社会的な空間の中間あたりに位置づけられそうで今後の成長が楽しみです。

「居場所の多様化・細分化」
「居場所の多様化・細分化」

分散型SNSがもたらす新たな可能性

 これはまだまだ未知数ではありますが、分散型SNSの存在が未来のSNS勢力図にもたらす影響について触れておきます。分散型SNSの特徴の1つとしてポータビリティ性という面があるのですが、これは同じプロトコル(※1)で作られた分散型SNSであれば、フェディバース(※2)という相互接続している状態をつくり投稿やリアクション、フォローのやり取りが可能になるということです。

 また、若い世代に限らずほとんどの世代にとって新しいSNSを利用する心理的ハードルがさらに下がり、新興SNSが市民権を得やすい状態になることで「居場所の多様化・細分化」をさらに加速させるドライバーとなる可能性があります。

 先にご紹介したBlueskyも利用者数はまだまだ小規模であり、分散型SNSがこれからどれだけ普及していくかは未知数ですが、すでにMeta社がThreadsは分散型SNSを目指すと発表しているため(2024年12月時点では未完了)今後大きな地盤の変化が起きそうです。

※1プロトコル=データ通信を行うための規約、フォーマット。

※2フェディバース=Federated(連合)とUniverse(宇宙)を組み合わせた造語。

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企業は2025年以降のトレンドにどう向き合う?

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この記事の著者

森竹 アル(モリタケ アル)

 スパイスボックス 取締役副社長 事業統括責任者。2006年にスパイスボックス入社。プロデューサーとして大手自動車メーカー、食品メーカー、ゲーム会社等のデジタルマーケティングを支援。2013年、プロデュース局局長就任。すべてのクライアントワークを統括。2016年以降は、ソーシャルメディアを中心に「共感」と「話題」を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/08 07:00 https://markezine.jp/article/detail/47935

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