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愛されるブランドの仕組み:ブランド・リレーションシップ入門講座

広範囲愛着型・業績不振型…?2つの顧客基盤分析ツールで自社ブランドを診断しよう【第6回】

VBマップは、市場でのブランドの位置付けがわかる

 RPマトリクスに続いて、VBマップをご紹介します。VBマップ(volume‐balance map:絆バランス・マップ)は、市場における自社ブランドの「受け入れられ方」がわかる分析ツールです。

 VBマップはブランド認知、ブランド態度、ブランド・リレーションシップという3次元を組み合わせることで、市場における自社ブランドの状態を詳細に記述できます。またRPマトリクスが、ある1つのブランドを対象とした分析ツールであるのに対して、VBマップでは複数のブランドを対比する形で分析します。

 ブランド同士の相対的な位置関係を描くことによって、市場における自社顧客基盤の量的および質的特徴を明確化します。したがって顧客ロイヤルティという観点からブランドの市場ポジショニングや競争状態を知るための強力なツールとなります。

5層分析

 VBマップを作成するには、まず「5層分析」を行います(図3)。自社ブランドについて、(1)ブランド認知が確立されているか、(2)ブランド態度は肯定的か、中立的か、否定的か、(3)ブランド・リレーションシップが十分に形成されているかという点から消費者を分類します。

 すると、自社ブランドにリレーションシップを形成している者(絆層)、リレーションシップは形成していないが肯定的な印象を抱いている者(好意層)、中立的な印象を抱いている者(中立層)、否定的な印象を抱いている者(拒否層)、自社ブランドを知らない者(非認知層)の5層に分解できます。

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【図3】5層分析

 自社ブランドについての分析が終わったら、同様の分析を、複数の競合ブランドについて行います。こうすることで、自社ブランドおよび競合ブランドの顧客構造が明らかになります。

ポジティブ・ボリュームとポジティブ・バランス

 5層分析の結果にもとづいて、ブランドごとに「ポジティブ・ボリューム」と「ポジティブ・バランス」を算出します(図4)。

 ポジティブ・ボリュームとは、ポジティブ評価の量的側面であり、そのブランドは市場にどの程度好意的に受け入れられているのかを示すものです。具体的には、市場における絆層と好意層の大きさであり、全5層に対するポジティブ層(絆層+好意層)の割合を計算します。

 次にポジティブ・バランスとは、ポジティブ評価の質的側面であり、そのブランドは市場にどのように好意的に受け入れられているのかを示すものです。具体的には、ポジティブ層(絆層+好意層)に占める絆層の割合を計算します。

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【図4】ポジティブ評価の量的側面を示すポジティブ・ボリューム(左)とポジティブ評価の質的側面を示すポジティブ・バランス(右)

 これらにより、そのブランドの肯定的な評価が、ブランド自体のイメージによるものか、あるいはブランドとの心理的な結びつきによるものかの傾向を示せます。

次のページ
VBマップ タイプ別の特徴

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この記事の著者

久保田 進彦(クボタ ユキヒコ)

青山学院大学 経営学部教授、博士(商学)(早稲田大学)。日本商業学会学会賞受賞(2007年論文部門 優秀論文賞、2013年著作部門 奨励賞)、公益財団法人吉田秀雄記念事業財団助成研究吉田秀雄賞受賞(2010年度、2016年度)。最新作は『ブランド・リレーションシップ』(有斐閣)他著書多数。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/24 09:00 https://markezine.jp/article/detail/47948

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