ショートドラマ視聴者の中心は10代 「展開の速さ」が鍵
では、ショートドラマはどのような年代に見られているのでしょうか。
図表6は代表的なショートドラマチャンネルである「ごっこ倶楽部」の年代別の接触率を表したものです。

この結果から、特に10代を中心に見られていることがわかります。近年、倍速視聴をする人が増えていることも話題になっていますが、倍速視聴のメリットは時間が短縮できることはもちろん、展開の速さにもあると考えられます。ショートドラマは物語がテンポよく展開されるものが多いため、そういった視聴者の心理も上手に取り込めているのかもしれません。
さらに、このようなショートドラマの特性はプロモーションにおいても活かされています。たとえば、ごっこ倶楽部と味の素パークのPRコラボ動画では、ショートドラマ内の小道具として「スープDELI」が登場しています。PRによってドラマを中断させることなく、商品説明をすることもなく、あくまで主役はドラマの内容になっているのです。
このような「プロダクトプレイスメント」と呼ばれるプロモーション手法は、これまでも映画やTVでも多く活用されていますが、ショートドラマでも活用されています。「タイパ」を重視し、限られた短い時間の中でテンポよく展開されるストーリーが見たい視聴者にはこのようなプロモーションがより効果的と考えられるのではないでしょうか。
ショートドラマ専用アプリの誕生と、テレビ局の参入
ショートドラマはYouTubeやTikTok、Instagramなど既存のプラットフォームで視聴されているだけでなく、最近ではショートドラマ専用のアプリも誕生しています。
ショートドラマアプリは1作品の話数が比較的多く、1話数分で1作30話ほどから多いもので100話以上のドラマが配信されています。料金体系はマンガアプリと似ており、初めの数話~10話ほどは無料視聴が可能で、それ以降は1話ごとに課金するか、広告視聴をすることで続きを見られる形式が多くなっています。Amazon PrimeやNetflixのように年額や月額でのサブスクリプションが利用できるアプリもありますが、1話ごとの料金もあることで、初回視聴者の心理的ハードルが低くなっているのかもしれません。
ショートドラマ専用アプリは中国発のアプリが多く展開されています。中国での流行を受けて日本でもショートドラマが普及し始め、日本でもemole社の「BUMP」というショートドラマ専用のアプリが2022年12月に誕生しました。
さらに、最近ではテレビ局も積極的にショートドラマアプリの活用をしています。
テレビ東京はBUMPにてショートドラマを配信し、再編集したスペシャル版を地上波で放映。日本テレビは「毎日はにかむ僕たちは」というYouTubeチャンネルを作り、ショートドラマを配信しています。また朝のニュース番組「Oha!4 NEWS LIVE」×ごっこ倶楽部がコラボしたショートドラマなど、積極的にショートドラマを展開する中で、ショートドラマアプリでも作品を公開しています。
さらにフジテレビは2025年度にショートドラマ専用アプリ「FOD SHORT」をリリースすることを発表しており、ショートドラマのさらなる展開が期待されます。