SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのセミナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第110号(2025年2月号)
特集「イマドキの中高生・大学生のインサイトを探る」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

実践!GTM DMIモデル

CMO不在でも総力戦はできる。“戦略の共通言語化”で組織間分断を解消する「GTM DMIモデル」とは

ドラッカーの問いから考える、GTMに取り組むべき理由

 マーケティングのあるべき姿と現状のギャップを見ていくために、経営学の泰斗であるP.F ドラッカー(ピーター・ファーディナンド・ドラッカー/以下、ドラッカー)を引用してみましょう。ドラッカーはその著書『ドラッカー5つの質問』(注1)の中で、企業を成功に導くためにマネジメントで必要なことは正しい答えではなく「正しい問い」であり、下記の5つの質問を「問い」続けることが最重要であると述べています。

第1の質問:我々のミッションは何か
第2の質問:我々の顧客は誰か
第3の質問:顧客にとっての価値は何か
第4の質問:我々の成果は何か
第5の質問:我々の計画は何か

 このうち、質問の2から4は「自社の計画、価値」と「顧客(企業)」の解像度を上げる事に集約されます。これは企業の未来を創ることに大きな貢献をするべきマーケティングの「あるべき」ミッションであるといっても過言ではないでしょう。

 一方、現状を見てみると多くの企業、特に製造業では、マーケティング用語である4Pの中でマーケティング部門が担っているのはプロモーションだけで、製品と価格に関しては製造、開発部門が担い、流通に関しては営業部門が担っているというケースがほとんどではないでしょうか。

 つまり、本来あるべきマーケティングの機能である「自社の計画、価値」と「顧客(企業)」の解像度を上げる事に必要な機能、部門が複数に分かれてしまい、本来的な市場と向き合い自社の成長を促す「広義」のマーケティングではなく、販促、プロモーションに特化した狭義のマーケティングを行っているというのが実情と言えます。

 これは言い換えると、企業の成長にとって部門を超えて「総力戦」で行うべき戦いがそれぞれの部門機能に分かれた「局地戦」になってしまっている状況です。

総力戦を行うためにどうするか

 この局地戦を脱却し、総力戦を行うための手法の一つがCMO(Chief Marketing Officer)やCRO(Chief Revenue Officer)、CGO(Chief Growth Officer)と呼ばれる複数の部門を統括できる役職機能を置くことで、総力戦を行える体制を築くことです。

 実際に、Boyd, Chandy, & Cunha Jr.(2010)(注2)によれば、CMO が企業価値を高めるために果たすべき役割には、

1)情報的役割(informational role)。新しい市場機会を見つけ、既存顧客と新規顧客から新しい売上を得る。
2)意思決定的役割(decisional role)。マーケティングの投資にどのようなあるいはどの程度の投資をなすべきかを決定する。

 というようにドラッカーのいう「自社の計画、価値」と「顧客(企業)」の解像度を上げるという広義のマーケティングの役割が課されていることが一般的です。実際に、プラント関連製品の製造販売を手掛ける、横河電機株式会社では、CMOおよびマーケティング本部の傘下に新規事業開拓、R&D、M&A、知財、特許戦略などの機能を集約する事で広義のマーケティング機能の提供を可能にしています(注3)。

 ただし、日本の実情は日本マーケティング学会の2019年の調査では、「日本企業において、CMOを設置している企業の割合は約8~11%であるという状況(注4)」であり、CMOの設置を通して部門を超えた強力な権限、機能をマーケティング部門が保有するという事は短期的には実現が難しいといえます。

 実際、DMIのBtoBマーケティング委員会においてGTMモデルづくりの議論の中でも、「会社のマーケティング部門にはあるべき広義のマーケティングを行うための部門を超えた権限と影響力がない」という声も多く聞かれました。


「MarkeZineプレミアム」とは
溢れる情報の中から、今知るべき優良なマーケティング情報を厳選してお届けする会員サービスです。 Web有料記事が読み放題になるだけでなく、限定セミナー、ホワイトペーパー、雑誌(電子版)など複合的なサービスを通じて、 良質な情報をお届けいたします。個人でのご利用はもちろん、チーム利用向けのプランも複数ご用意しておりますので、 チームビルディングや人材育成にもご活用いただけます。

●全プレミアム記事がWebで読み放題
●限定イベントに無料で参加し放題
●限定ホワイトペーパーが読み放題
●雑誌『MarkeZine』が毎月届く。バックナンバー(電子版)も読み放題(チーム利用向けプランのみ)

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラスをご契約の方は
・こちらから電子版(誌面)を閲覧できます。
・チームメンバーをユーザーとして登録することができます。
 ユーザー登録は管理者アカウントで手続きしてください。
 手続き方法の詳細はこちら

次のページ
CMO不在でも総力戦を実現できるのが「GTM」

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
この記事の著者

大橋 慶太(おおはし けいた)

公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構
B2Bマーケティング委員会 委員長
マーケットワンジャパン 合同会社 執行役 事業開発管掌

BtoC、BtoB企業のマーケティング・コンサルティングに20年以上従事。現在は大手製造業向けに、マーケティングを軸にした新規事業探索、デジタルト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/03/12 20:35 https://markezine.jp/article/detail/48196

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング