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【特集】いま選ばれる「ブランド」の作り方

ブランドに求められる「善」と「余白」/これからのブランディングに必要な6つの視点

これからのブランディングを体現する、受賞ブランド群

──では、新評価軸で実施された「Japan Branding Awards2024」の結果について教えてください。

Japan Branding Awards 2024受賞ブランド(タップで画像拡大)
Japan Branding Awards 2024受賞ブランド(タップで画像拡大)

 受賞したブランドについては上記のとおりです。評価軸をアップデートした差分が特に色濃く出ているのがGOLDのブランドです。先ほども挙げたBioréは、人の肌を、「社会と人をつなぐ『ヒューマンインターフェース』」と定義し、「肌を通して人々が快適な生活を送れるように支援する」と自らの存在意義を一段上げました。

 スポーツウェアのゴールドウイン社は、オリジナルブランド「Goldwin」を主軸にブランドパーパスを「人を挑戦に導き、人と自然の可能性をひろげる」と定義して基盤を整え、パーパスを体現する仕組みをしっかり構築していきました。

 北海道砂川市で創業したナチュラルコスメの「SHIRO」は、地方創生のコンセプトを地域住民やお客様と共に作り上げ、ふるさと納税の件数・金額に大きく貢献しています。先ほどの「関係性」がキーになっていますが、資本市場での評価も高く、結果として経済活性化や人口流出減などの大きな効果を生み出しています。

──SILVERやBRONZEはいかがでしょうか?

 以前の評価軸であれば、SILVERのブランドも最高評価だったと思います。新しい評価軸を体現しているという意味ではGOLDですが、SILVERのブランディングの活動は、あらゆる企業のベンチマークとなり得るものです。

 BRONZEは、他の2つのカテゴリーのように「包括的・統合的に優秀」というには成果がまだ顕在化されていないところはありますが、知っておくべきブランドです。たとえば徳島のスペック社は、徳島県上勝町のゴミを出さない「ゼロ・ウェイスト活動」をきっかけに、バイオサイエンスやサステナブル事業、クラフトビールの「KAMIKATZ」ブランド事業を展開し、地方創生とサステナブルに取り組んでいます。ユニ・チャームの「unicharm」も、ブランドビジョンを軸にグローバル展開する一方で、時代に合わせて提供価値をアップデートしていく柔軟性、すなわち「余白」に優れたブランドです。

 ちなみに今回は、贈賞式のやり方も変更しました。過去5回は、受賞ブランドの方だけに集まっていただいたのですが、今回は各ブランドのリーダーの方やブランド担当者もお招きし、受賞者の講演を聞く交流会のような形にしたのです。プラットフォームとしてふさわしい形に変えてみました。

「ブランド力」は競争力の源泉となる

──今後、ブランド担当者の交流が増えていくと楽しみですね。

 そうですね。ブランディングをできる人が増えれば、日本経済も社会も良くなると思います。これからの企業は、日本市場だけではなく、海外市場を目指さないと生き残れません。その時に競争力になるのがブランド力です。プラットフォームの上にコミュニティができてくれば、従来のように「広告宣伝を打っていればいい」ではなく、ブランディングに本格的に取り組む人材が出てくるでしょう。それを期待していますし、我々もそんな未来に貢献したいと考えています。

──最後に、ブランディングに取り組んでいる方々に「次のブランディングを考える上で大切なこと」をお伝えください。

 まず過去の方法論、「これが正解」というやり方を踏襲することをやめましょう。過去の方法論や理論は、当時はより良い解の1つだったかもしれません。ですが社会変革がこれだけ起きている今、これが正解というものはありません。その考え方から脱却する勇気が必要です。

 次に、ブランディングを単発で終わらせず、関係者を巻き込んでいくこと。四半期会計が求められる中、長期的な視点で取り組むことは難しいこともあるでしょうが、継続する仕組みを作っていくことは大切です。

 最後に、マーケティングの文脈だけでなく経営の視点を持って取り組むこと。そのためには、先ほども言ったとおり一部門に閉じるのではなく、経営的な視点を持つ方、または経営者を巻き込みながら取り組んでいくことです。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/21 09:30 https://markezine.jp/article/detail/48518

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