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MarkeZine Day 2025 Retail

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売上昨対140%超のつくりおき.jp、顧客体験の一貫性を守る「番人」Antway CX部の活躍に迫る

お客様にリサーチする方針を徹底

──CX部には顧客とのコミュニケーションを強化する狙いもあったと思いますが、その点に関して手応えを感じていることはありますか?

 お客様にリサーチをかけることが当たり前になったことは大きいですね。インサイト探索型調査と継続モニタリング調査を行っています。インサイト探索型調査は、CX部以外も含めた全社で1~2ヵ月に1度ぐらいの頻度で行うインタビューで、新しい機能開発やLPの作成を目的にしています。

 また継続モニタリング調査では、2つのアンケートを行っています。週次のお客様満足度調査は、サービス改善に直結する情報源です。もう1つが、解約時のアンケートです。このようにお客様への価値提供をファクトに基づいて行うという方針を徹底できていることは、大きな成果だと考えています。

 つくりおき.jpの利用料金は週に1万円前後、毎週頼めば月に4万円ほどかかるため、サブスクリプションとしては高額な部類です。そうしたサービスであるにも関わらず、多くの方に長期契約でご利用いただいています。また以前までは、新規のお客様の約半分は、紹介や自発的な検索による流入だったため、さほど広告費をかけずにこれまで拡大してきました

 他のECと比べても、継続率や獲得単価はかなり良いほうだと思います。良いプロダクトを届けるとともに顧客体験の一貫性を徹底して維持することによって、好循環が生まれていると考えています。

よりマス化することで「世間的な価値観の転換」を図りたい

──つくりおき .jpのプロモーション施策について伺います。キッチンの生産キャパシティに合わせて広告を打っている、と伺いました。なぜそのようなやり方をしているのでしょうか。

 当社では、冷蔵で料理をお届けしているため、1日に作れる最大数が決まってきます。たとえば、今週は100セットまで作れるとしたら、週内にその数が埋まるようネット広告で集客をしてきました。キッチンスタッフの参加人数も週次で変わるため、臨機応変な集客が求められます。しかし、串カツ田中さんをはじめとした企業と業務提携契約を結び、キッチンのフランチャイズ展開を2024年より開始したため、大幅に生産量を増やせるようになりました。

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キッチンのフランチャイズ展開によって提供エリアを拡大し、2025年5月からほぼ全国をカバーしている

 そこで広告に関しても今までとは違う、一般的な価値観の転換を図る試みが必要だと感じています。その1つが、テレビCMなどのマス広告を打つこと。そしてもう1つが、オフライン広告です。チラシや屋外広告などを使うことで、当社のようなサービスが当たり前になってきている感覚を世の中に醸成していきたいです。

──今後の展望について聞かせてください。

 お金を積んだ者が広告を多く表示できるオークション形式の広告だと、予算を増やすほど効率が悪くなっていきます。そのため新たな顧客接点として、コンビニやスーパーなどに弊社の商品を並べる施策にチャレンジしたいです。お客様の日常の中で、我々のサービスを知ってもらう機会を作れるため、効率が良い集客チャネルになると期待しています。

 また先述したとおり、事業をよりマス化することが非常に重要だと考えています。現在ご利用中のお客様の多くは、「家庭料理を外注する」という選択肢を受け入れてくださった方々です。次の段階では、「日々の食事のあり方は人それぞれでいい」という考え方がもっと広がるよう、価値観の変革を起こすマーケティングコミュニケーションに挑みたいです。

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この記事の著者

三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)

早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/05/28 09:00 https://markezine.jp/article/detail/48535

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