インサイトやトレンドを調査で計測するには?
続いて恒藤氏は3つ目のポイントとして、トレンドやインサイトは計測可能であることを解説した。トレンドやインサイトの筋がいいかを評価することで、再現性と汎用性を高められるという。
まず、“いい”インサイトの要素は「強いニーズ」「新しさ」「ボリューム」の3つだ。新しく、行動変化のトリガーとなり得るものが、自社にとって十分なボリュームで存在することが条件となる。では、どうやって筋のいいインサイトを見極めればよいのか。
「インタビューなどの定性調査では、対象者の表情が変わる、急によく話すようになるといったリアクションの変化に注目することで、インサイトを見極めることができます。こうした反応から、強い共感が生まれているかどうかを確認できるからです」(恒藤氏)

また、そうした見極め方を定量調査で再現するアプローチを紹介。「インサイトそのものを対象者に意識してもらえるように、コンセプト化することで共感度合いを確認できるようにし、『共感できるか』『新しさを感じるか』といった観点で評価していくのです」と恒藤氏は述べた。
ここで留意したいのは、インサイトは、顕在ニーズとは異なること。ニーズを直接的に聞くだけでは、インサイトを計測することはできない。コンセプト化した上で、一定のボリュームで強い共感と新規性が保たれているものが筋のいいインサイトであり、マーケティング活動に取り入れるべきものだといえる。

生活者の「いま」を捉えるトレンドやインサイトはタイミングが重要
最後に、恒藤氏は“ME TIME”の調査結果を例に示しながらタイミングの重要性についても言及した。2024年7月と2025年2月に計測したところ、後者の時期の共感性は15.5ポイント、新規性は4.9ポイント低下する結果となった。これはトレンドやインサイトが日々変わり、タイミングを逃すと生活者を動かすトリガーとして役割が弱まってしまうことを示唆する。
継続的に調査していくことは必ずしも必要ではないものの、捉えようとしているトレンドやインサイトはまさに今流行っているのか、これから広がっていくのか、ピークを過ぎてしまっているのか。タイミングも考慮することが重要となる。
今回例に挙がった“ME TIME”の他にも、QOでは様々なトレンドやインサイトを取り溜め、その一部をサイト「MITATE Insight Lens」上で公開している。恒藤氏は「トレンドやインサイトを活用するための切り口としてご活用いただければ幸いです」と伝え、セッションを締めくくった。