SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめのセミナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第111号(2025年3月号)
特集「CES 2025より テクノロジーで変わる社会、広告、マーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2025 Spring

ブランド指標からROIまで定量化&データドリブンに戦略を策定――JQ CARDの成長戦略策定プロセス

 施策の実行や振り返りでデータを活用する企業は多い一方で、データから大きな戦略や方向性を導き出せている企業は少ない。JR九州のクレジットカード『JQ CARD』は、1st Partyデータと3rd Partyデータを活用し、これまで以上に“定量性”を意識して『JQ CARD』の現状の課題と機会の分析を行い、新たなマーケティング戦略の策定を進めてきた。本稿では、そのプロセスが紹介されたMarkeZine Dayのセッションの内容をレポートする。

JR九州『JQ CARD』のさらなる成長・拡大を目指して

 九州旅客鉄道(以下、JR九州)は、『JQ CARD』というクレジットカードを発行している。JQ CARDは提携するカード会社6社が発行する24種類からなるクレジットカードだ。2010年3月に会員募集を開始し、現在の効会員数はおよそ90万人(2025年3月時点)。九州だけでなく、東京在住者3〜4万人にも保有されている。

 JR九州グループは、九州全域に鉄道網を持つ企業として、鉄道・新幹線をコア事業としながら、駅ビル・ホテルなどの不動産、流通・外食、建設など複数の事業を展開している。JQ CARDでは、それらのアセットとの連携を強化。駅ビル施設(アミュプラザ)での買物割引や、JQ CARD専用きっぷを提供している。また、貯まったポイントは駅ビルで利用でき、新幹線・特急に乗れる限定きっぷとも交換できるなどの特典もある。

 そんなJQ CARDのさらなる成長を目指して、2024年よりスタートした、マーケティング戦略の立案~実行のプロジェクト。その支援にあたっているBrandismの木村氏は、日本の成熟した市場でのマーケティングの課題について次のように話す。

株式会社Brandism代表取締役社長の木村元氏
株式会社Brandism 代表取締役社長 木村元氏

 「マーケティングでは、市場や顧客行動、ROIなど様々な指標で数値化が進んでいますが、ブランド指標については、多くの企業がまだ指標化できていません。定量化できている企業があったとしても、それがどう売上と利益につながっているのかを見極めるところには課題があると考えています」(木村氏)

 JR九州は、定量化にフォーカスし、ロジカル思考で戦略を作っていくBrandismに共感。定量化の際に必要となる指標の設計や、戦略の策定を進めてきた。

あらゆる指標を定量化し、振り返り可能な状態に

 JQ CARDのマーケティング戦略策定にあたり重視したポイントは、主に次の4つだ。

1.あらゆる指標を定量化し、全ての施策をレビュー可能にすること

2.データの数値化・定量化を行い、そこから顧客インサイトを捉えること

3.単年の結果を得ながら、3年後・5年後・10年後を見据える、短期的成果と長期的視点を両立させること

4.戦略・広告・メディアなど、一気通貫したパートナーとして取り組むこと

 この中で、山田氏は特に「あらゆる指標を定量化」という点を強く意識したと話す。

九州旅客鉄道株式会社 事業開発本部 デジタル事業創造部 山田和弘氏
九州旅客鉄道株式会社 事業開発本部 デジタル事業創造部 山田和弘氏

 「全てを定量化できるわけではありませんが、ブランドイメージなどに何らかの定量性を持たせることで、振り返りができるようになります。指標の妥当性を検討しながら定量化を進めていくことは、私にとってもチャレンジングな取り組みでした」(山田氏)

次のページ
戦略策定のステップ:定量調査→1st Party分析→3rd Party分析

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
MarkeZine Day 2025 Spring連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/04/16 08:30 https://markezine.jp/article/detail/48596

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング