認知から契約まで、各ファネルで成果を最大化する施策とは?
――マーケティングファネルの各工程においては、実際どのような施策を展開されているのでしょうか。
中井:マーケティングファネルの最上段、認知ファネルでは、テレビCMやタクシー広告、電車内広告などのマス広告を展開しています。また、動画メディアや新聞への広告出稿も行っています。
認知ファネルにおけるマス広告の出稿はすぐに結果が出るものではなく、かつ費用対効果も見えにくいです。そのため多くの企業にとって、マス広告出稿の判断は難しいものだと思います。
しかし私たちは、マス広告を「信頼構築」のための重要な投資だと捉え、ある種の割り切りを持って戦略的に出稿をしています。
また、認知ファネルの施策としてもう一つ挙げられるのが展示会です。展示会においては、名刺交換した企業が3ヵ月以内にトライアルに転換した割合、1年以内に契約に転換した割合をKPIとして追っています。

――興味関心ファネルのコンテンツマーケティングでは、どのような点を意識していますか?
中井:各サービスのバリュープロポジション(顧客に提供する価値)を明確に伝えることを意識しています。
たとえば「安否確認サービス2」であれば、世の中にさまざまな安否確認サービスがある中で、弊社のサービスが選ばれる理由、強みを訴求しています。
コンテンツマーケティングの中心は興味関心ファネルとなりますが、それ以外のファネルに向けた記事も幅広く制作しています。
――コンテンツのテーマは、どのように決めているのでしょうか?
坂田:コンテンツで扱うテーマは、自社を構築するキーワードと課題を掛け合わせて決定しています。
自社を構築するキーワードは、顧客インタビューやアンケートを通してお客様に聞いて考えるのが良いですね。顧客が普段どのように、自社のサービスについて話しているか知ることで、本当に求められている情報、つまり「勝ち筋のあるキーワード」を見つけることができます。
「N=1」の課題解決を追求する 顧客視点の徹底が、解約率0.7%を生み出す
――興味関心ファネルだけでなく、認知や契約に近いファネルにも対応し、幅広いテーマのコンテンツを制作していると思いますが、すべてのコンテンツで大切にしていることはありますか。
中井:1人1人の問題意識や課題にあわせてコンテンツを作ることです。たとえば、kintone連携サービスに関するコンテンツでは、kintoneで「請求管理をしたい」「予約管理をしたい」といった具体的なニーズに答える内容はもちろん、卸売業の方だけが気にされるような課題に対応したコンテンツなど、ニッチなテーマであってもニーズがあれば積極的に取り上げています。
もちろん、そういったコンテンツのPVは伸びないかもしれません。しかし記事を見た方、いわゆるN=1に「こういう情報を求めてた!」と感じていただくことができれば、それでいいのです。記事が課題解決に役立ち、トヨクモへの信頼につながり、トライアルや契約をしていただけるかもしれませんから。
さらに先ほどのAIによる検索行動というのは、このN=1への考え方の追い風になると思っています。非常にロングテールになり見つけにくい記事になってしまったとしても、そのお客様にAIが記事を届けてくれるようになるからです。
坂田:またコンテンツのCTA(Call To Action)設計も非常に重視しています。CTAボタンの前後の文章やボタン内の文言など、細部にまでこだわり、CTAに価値を持たせるようにしています。
「どんな言葉がお客様にとって伝わりやすいか?」というのは、自社のキーワード同様、お客様にご協力をいただきながら、最適な表現を追求しています。
――ここまで紹介した以外で、御社ならではの工夫が見られる施策はありますか。
中井:自社開催のイベントですね。たとえば、2025年1月に開催した「安否確認サービス2」のイベント「トヨクモ防災DAY」では、先ほどのコンテンツマーケティングの考え方を応用して、価値の高いコンテンツを用意、体験していただける内容に仕上げました。
kintone連携ではお客様のユースケースを紹介するイベント「トヨクモkintoneフェス」などを4年〜5年ほど継続して行っています。
