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Cookieレス×AI時代の新標準─リターゲティング広告の実践ガイド

「プラットフォームの違いは?」「表示は過剰にならない?」リターゲティング広告のよくある疑問に答える

広告の表示頻度が過剰になってしまうのでは?

 複数のリターゲターを利用する際に、「ユーザーが広告を頻繁に目にしすぎて、ユーザーエクスペリエンスやブランド認知に悪影響を与えるのではないか?」と懸念に思われる方も多いようです。複数のプラットフォームが同時に広告キャンペーンを行っているように感じられることが原因かもしれませんが、この懸念はリターゲターのビジネスモデルに対する誤解から生じています。

 リターゲターを提供するプラットフォーマーは、広告がクリックされなくてもすべてのインプレッションに関するコストを負担しなければなりません。そのため、インプレッション数を最小限に抑えながら、クリックを最大化することが求められるのです。

 過剰に広告を表示することは、プラットフォーマー自身の利益にも反する行為です。そのため、精密なターゲティングを行い、パーソナライズされた広告を表示することが非常に重要となります。クリック数やコンバージョンを最大化するには、ユーザーに適切な広告を届ける必要があります。「数打てば当たる」ではなく、関連性の高い広告を確実に届けることが、広告主にとっても、プラットフォーマーにとっても成功への鍵なのです。

マルチリターゲティングには多額の費用が必要?

 広告予算の最適化は重要な課題ですが、「マルチリターゲティングは1つのリターゲターを使うよりも費用がかかるのでは?」と疑問に思われる方も少なくないようです。これには、広告オークションの入札モデルに着目すると疑問は晴れると思います。

 入札モデルには一般的に「セカンドプライス」と「ファーストプライス」の2種類があります。いずれも最高入札者がオークションに勝ちますが、セカンドプライスオークションの場合、実際に支払う金額は2番目に高い入札額をわずかに上回る程度となります。一方、ファーストプライスオークションでは、最高入札者が提示した入札額をそのまま支払います。

 たとえば、1位の入札額が400円で2位が300円の場合、セカンドプライスモデルでは1位の入札者は300円をわずかに上回る金額を支払います。ファーストプライスの場合は、入札額の400円を支払うことになります。

 この例を見ると、セカンドプライスは一見、広告コストを抑えられるように思われますが、実際には過剰入札を助長する傾向があります。「高額を提示しても最終的に支払うのは2位の金額に近い」という心理が働くため、より高い金額を提示する傾向が強まり、結果的に入札額が高騰してしまうことがあるのです。

 これに対し、ファーストプライスオークションでは、入札者は自身が支払う可能性のある実際の金額を慎重に検討するため、より現実的な入札行動につながります。そのため、現在では多くの広告枠入札プラットフォームで、過剰入札を防ぐためにファーストプライスオークションが採用されています。

 さらに、リアルタイムで行われる入札オークションでは、多数の広告主が競り合っているため、リターゲターを1つ追加したからといって競争環境が大きく変わることはありません。つまり、マルチリターゲティングを導入しても、必ずしも広告費用の大幅な増加にはつながらないのです。

 マルチリターゲティングの採用は、広告費用の増加よりも、むしろ異なるアルゴリズムやアプローチを活用することで、より効果的なターゲティングと広告配信を実現し、投資対効果を向上させる可能性が高いと言えます。

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広告が競合してしまうのでは?

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この記事の著者

奥内 鉄治(オクウチ テツジ)

RTB House Japan カントリーマネージャー
毎日新聞社、FOXインターナショナルチャンネルズ、Yahoo Inc.などを経て、2017年RTB Houseの日本事業に参画。20年以上デジタル広告の領域を歩む。2021年より現職。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/13 09:00 https://markezine.jp/article/detail/48669

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