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MarkeZine Day 2025 Spring

平均200万再生・Z世代に圧倒的な認知度を誇る『ドコモ×青春』に学ぶ、縦型ショートドラマ成功の秘訣

「前例のない施策」を実行するために取り組んだこと

 同社ではドラマの目標配信数を年間120本とし、「月10本、週にならすと2〜3回の配信」を続けている。おかげですっかりZ世代の人気アカウントとなり、他事業部から「新サービスの認知に利用させて欲しい」と依頼されることもあるという。

 だが、施策の企画から実行までスムーズに進んだわけではない。むしろ「前例のない施策だったので、予算化するための社内説得には半年ほど時間を要しました」と梅津氏は打ち明ける。

 「若者との接点を増やすに当たり、『TikTokでの施策展開』と『なぜドラマが有効なのか』という点について、資料と実際の動画を使って何度も説明しました。とはいえ、上司の世代ではZ世代の気持ちやニーズがなかなか理解できず、最後まで『なぜこれが受けるのかわからない』と首を傾げていました」(梅津氏)

 最終的には、「若者世代を理解できるのは若手社員」ということで、全面的に梅津氏に任せてもらえることになったという。

 次にポイントになったのは、週2本のドラマ承認フローの構築だ。従来NTTドコモでは、CM制作に当たっては上司・関係部署に照会しながら半年前後をかけてローンチすることが普通だった。ショートドラマとはいえ、週2本の配信となると、従来のプロセスでは対応できない。

 そこで今回は、企画から配信までの確認作業についてはすべて梅津氏のチーム内で完結するフローを構築。そのため、GOKKOの協力の下、トラブルなく進行するためにリスクに対するガイドラインを策定し、ガイドラインに沿った運用を徹底するように心がけた。そしてクリエイティブの内容に関しては、上司を通さずに若手社員に任せることで進めているという。

 こうしてNTTドコモの公式アカウントは大きく育ち、他事業部から注目されるようになった。しかし、梅津氏は「このアカウントで、単なるサービス訴求を行うことは難しいと思います」との見解を示す。その理由は「自分が視聴したいコンテンツだから見るのであって、企業目線の広告だと、関心がないので視聴されない可能性が高い」からだ。

 「現在、どのようなコンテンツであればユーザーの皆様に抵抗感なく受け入れてもらえるのか、フォーマットの模索・検証をGOKKOさんと進めています。また、ドラマ以外のコンテンツを拡充し、ブランディングに寄与するような投稿をしていきたいと考えています」と梅津氏は話し、同社の挑戦はまだ続くことを示唆している。

画像を説明するテキストなくても可

前例を破ることこそ、ビジネス課題突破の鍵

 梅津氏の後、再び登壇した中矢氏は、MarkeZine Day 2025 Springの来場者に向けて2つのメッセージを強調した。

 1つは、「しっかりしたコンテンツを制作し、それを見た人をファンにする」という基本戦略の大切さだ。

 「これまでの広告は、企業メッセージを先に考え、そのメッセージを入れ込む前提でクリエイティブを制作してきました。しかし今の時代は、『届けたい層にとって、何がおもしろいのか』を先に考え、そのなかにメッセージをどう挿入していくかを考えるプロセスへと、逆のやり方が必要になっています。そこを間違うと、おもしろくないコンテンツになってしまい、視聴成果もリーチも得られなくなるリスクがあります」(中矢氏)

 もう1つは、「前例のない施策でも、挑戦してみる」という行動力を持つことだ。

 中矢氏は最後に「大企業の場合、前例のないことに取り組むハードルはかなり高いと思います。ですが今回のNTTドコモさんのように、これまで前例のないことに挑戦し、しっかり結果を出せばそれが新たなスタンダードになるはずです。そのスタンダードを作るのは非常に大変な障壁をくぐり抜ける必要がありますが、その行動が未来を変えるので、ぜひ勇気を持って新しい試みに挑戦してほしいと思います」と述べ、講演を終えた。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/22 08:30 https://markezine.jp/article/detail/48768

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