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【特集】テクノロジーで変化する、社会、広告、マーケティング

わざわざ現地へ赴く価値はある?CES 2025参加者が現地から持ち帰ったもの

テクノロジートレンドの風向きをキャッチし、未来の生活様式・生活者インサイトを捉える

CES現地参加の価値は?

 “情報” だけであればYouTubeやWeb記事でも閲覧可能ですが、キーノートに関しても会場の反応や温度感はリアルでないと感じられませんし、展示ブースの人だかりや熱量も現地でないと体験できないものだと思っています。また、クライアントやパートナー企業と同じ体験を共にし、その場で意見やアイデアを共有し合うことでの学びや繋がりは、現地に行かないと味わえない貴重な体験だと考えています。

今年のCESで注目していたのは?

 満を持して登場した、NVIDIAジェンスン・ファンのキーノートです。NVIDIAの歴史や今後のビジョンを語るそのストーリー(Perception AI → Generative AI → Agentic AI →Physical AIの流れ)は、AIそのものの変遷を示唆する内容であり、AI技術やサービスを見る際のモノサシを手に入れることができたと感じています。また、「NVIDIA Cosmos」の発表は衝撃的で、Physical AIによって駆動するプロダクトやサービスが日常生活に現れるのもそう遠くはないと感じさせられました。

 昨年からAIに関する話題は注目されていましたが、その活用に関しては、生成AI によるコンシェルジュサービス・パーソナライゼーションの高度化といったデジタル文脈に留まっていた印象でした。そのため今年は、AI活用のされ方がどこまで生活者の日常に組み込まれているかを意識して各種展示を視察しました。

今年印象的だった展示は?

 キリン、味の素がそれぞれ展示していた味覚テックです。両社とも「電気調味料」という概念のもと研究開発した、味覚テックデバイスを展示していました。今年は全米退職者協会が非常に大きなAge-Techブースを構え、AIを活用したプロダクトを多数取り上げていました。が、そういったAI活用を前提としたトレンド文脈ではなく、両社の方針(食から医にわたる領域で価値を創造する、健康でより豊かな暮らしへの貢献)に根ざした技術開発は、企業として取り組む意義を強く感じ、とても共感できるものでした。

 CESでの学びや発見は、新商品開発、新規事業開発において大きなヒントになると考えています。日進月歩で技術革新が進む現代において、テクノロジートレンド(風向き)を捉えることは、未来の生活者の生活様式・インサイトを捉えることと同義です。CESで得た知見を活用しながらクライアントのイノベーション支援に伴走していきます。

コメント提供:ベストインクラスプロデューサーズ 中村元海さん

ベストインクラスプロデューサーズ 執行役員 中村元海氏セプテーニ、朝日広告社を経て、2015年からベストインクラスプロデューサーズの立ち上げに参画。マーケティングプロデュース業を生業とし、デジタル時代におけるマーケティング戦略プランニング・組織構築・新規事業開発など、一貫した伴走型のマーケティング活動支援に従事。2023年10月より執行役員に着任。
ベストインクラスプロデューサーズ 執行役員 中村元海氏
セプテーニ、朝日広告社を経て、2015年からベストインクラスプロデューサーズの立ち上げに参画。マーケティングプロデュース業を生業とし、デジタル時代におけるマーケティング戦略プランニング・組織構築・新規事業開発など、一貫した伴走型のマーケティング活動支援に従事。2023年10月より執行役員に着任。

国際的に大きく揺れるエレクトロニクス分野の技術進化と収益モデルの可能性を探る

CES 参加の目的は?わざわざ現地に赴く理由は?

 私は、エレクトロニクス分野でのマーケティングに従事しています。今回は「半導体製造技術の進化」と「エンドユーザー製品への実装までのタイムラグ」、そして「半導体業界における新たな収益モデルの可能性」を探るために参加しました。

 数値データでは把握できない業界の機運や展望、隠れている課題などは、対面でしか得られない情報です。また、各ブースの集客状況が前年比でどう変わっているかをウォッチしたり、世界各国の展示担当者と人的ネットワークを構築できたりするのも、現地参加ならではの重要な価値だと考えています。

CES 2025で最も印象的だった展示を教えてください。

 「XPENG」の展示です。有人ドローンの商用化はまだ実現していませんが、地上×空を融合させた未来のモビリティを提示する意欲的な展示だったと思います。

XPENG の有人ドローンカー。実現可能性と実用化への期待を巧みに織り交ぜた展示だった
XPENG の有人ドローンカー。実現可能性と実用化への期待を巧みに織り交ぜた展示だった

 中国企業は、2018年頃まで未来志向の革新的な展示で会場を盛り上げていましたが、米中摩擦の影響で出展は縮小方向です。XPENGの展示は、CESが本来持っていた「未来」を感じられるものでした。

CES 2025での一番の収穫は何でしたか?

 今年のCESには、軍事関連(US Army、戦闘能力開発司令部:DEVCOM)のブースが出現しました。半導体技術の進化と軍事力の向上は、切っても切れない関係にあります。いずれも、パートナーシップの機会を探るための出展でした。CESでも出口の一つとして、軍事関連が含まれるようになったことを認識する機会となりました。

 また、ディスプレイ業界の市場構造の変化と、自動車産業における日本部品メーカーの積極的な展開にも注目しました。各社の収益モデルが法人向け製品へシフトしており、ソリューションの幅が強化されていることを感じました。

コメント提供:GranageLLP 石田のり子さん

GranageLLP 代表 石田のり子氏エレクトロニクス分野(半導体、ディスプレイ業界)における調査・マーケティングを行う。世界的著名な企業を顧客に持ち、これまでに米国、韓国、台湾、中国企業で業務を担当。現在も半導体ベースに世界の企業を調査、レポートをまとめるとともにセミナーでの講演活動も行う。CES はオンライン含め9回目の参加。
GranageLLP 代表 石田のり子氏
エレクトロニクス分野(半導体、ディスプレイ業界)における調査・マーケティングを行う。世界的著名な企業を顧客に持ち、これまでに米国、韓国、台湾、中国企業で業務を担当。現在も半導体ベースに世界の企業を調査、レポートをまとめるとともにセミナーでの講演活動も行う。CES はオンライン含め9回目の参加。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/27 09:30 https://markezine.jp/article/detail/48816

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