価値あるものには投資する。Z世代心理をつかんだサービス設計
MZ:高価格帯かつプレミアムなイメージのブランドと考えられてきたアメックスが、Z世代に寄り添い選ばれるブランドであるために、ロイヤルティ形成の観点でどのような点を意識されたのでしょうか?
杉本:Z世代は「どんなに安くても意味のないものはいらない」という人が多く、逆に価値があると認識できれば、多少コストがかかっても問題ないと考えています。その価値が曖昧なものでは選んでいただけないので、「このサービスはあなたのような考え方を持っている人に、こういった面で役立ちます」と明確に示す必要があります。
昨今、ゴールドカードはハイステータスなごく一部の人のものから、より多くの人がもつようになっている「大衆化」が進んでいます。日本においては最初にゴールドカードを発行するなど、ゴールドカードの開拓者であるアメックスだからこそ、今の時代に合った“真のゴールドカード”としてゴールド・プリファード・カードを設計しました。年会費を超える価値があることを示すため、プレミアムな体験価値の提供と、ポイントプログラムを含む経済的価値の両方を高めています。
ロイヤルティ形成の面では、体験価値だけでなくポイントプログラムの永続性が重要です。ゴールド・プリファード・カードは永久にポイントが貯められ、会員専用の旅行予約サービス「アメリカン・エキスプレス・トラベル オンライン」や提携航空会社とのマイル交換で使えたり、Amazonポイントなどへ交換できたりと、利便性も高めています。
また、セキュリティの安心感もアメックスの大きな強みです。旅行先での紛失時の即時発行や問題発生時のホットラインなど、「アメックスを持っている」ことが大きな安心感につながっていただければと考えます。
さらに一定の条件を達成いただいた会員の方には、年会費更新時に様々なプレミアムホテルから選べる1泊2名分の無料宿泊を提供するなど、会員継続への感謝を形にしています。この他に細かい点ですが、カードには「Member Since(入会年)」が刻印されており、会員歴の長さに誇りを持っていただいている方も多いです。メタル製のカードも実際に手に持った時の高揚感があり、デジタル決済が増える中でも根強い人気がありますね。

(https://www.americanexpress.com/jp/credit-cards/gold-preferred-card/より)
力強く「背中を押す」サービスを
MZ:最後に、今後の展望をお聞かせください。
杉本:アメリカン・エキスプレスのブランドミッションは「Powerful Backing」。これは「未来を拓く人たちを力強く支える」というもので、これからも私たちは日本でこの約束を果たしていきたいと考えています。
今回はゴールド・プリファード・カードを中心にお話ししましたが、ベーシックなグリーン・カードからプラチナ・カードまで様々なラインアップがあります。また個人向けカードだけではなく、個人事業主向けのビジネスカードも提供しています。このようにお客様のニーズや目的に合った選択肢を用意し、それぞれの価値を提供してまいります。
特にビジネスカードにおいては、日本ではまだ欧米に比べ普及が遅れています。会計業務の効率化だけでなく、当社では会員同士のビジネスマッチングなども行っており、メンバーシップの価値がビジネスコンテキストでも広がる可能性があります。今後は個人カード同様に、ビジネスカードの価値訴求にも注力したいと考えています。
さらに、レンディング機能(分割払いやリボ払いなど)のオプションについても積極的に伝えていく必要があると感じています。若い世代は様々な金融商品に慣れているので、ゴールド・プリファード・カードだけでなくアメリカン・エキスプレスのカードで様々なオプションが利用できるなど、価値をしっかり伝えていきたいですね。