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第111号(2025年3月号)
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変容する金融業界のマーケティング

組織横断で全社員対象にマーケスキルの向上を。牽引者の木田氏に聞く、三井住友海上のマーケティング変革

 従来マーケティングの必要性が薄いとされ、導入が遅れていた損保業界にも、変革の波が迫っている。そんな中、業界大手の三井住友海上火災保険は、わずか3年半で全社にマーケティング活用のカルチャーを浸透させることに成功した。驚異のスピードで変革を成し遂げた背景には、どんな工夫や秘訣があったのか。同社でCMOを務める木田 浩理氏に伺う。

伝統的な日本企業にどこまで変革を起こせるか?

MarkeZine:木田さんは2018年にデータサイエンティストとして三井住友海上に入社されています。はじめに、三井住友海上がマーケティングに本腰を入れ始めた背景を教えて下さい。

木田:当社に限らず損害保険業界は長年、営業をメインとしたビジネスモデルを築いてきました。かつ、自動車ディーラーなどの代理店にお客様対応を主に実施いただく「代理店ビジネス」が中心であったため、直接的な顧客接点を持ち、関係性を向上させるのは代理店任せという状況になっていました。

 しかし昨今、消費者の行動変容や金融庁からの業務改善命令など、様々な外的要因を受け、損保会社は岐路に立たされています。急激な変化に対応していくべく、三井住友海上もゼロからマーケティング組織を立ち上げることとなりました。

三井住友海上火災保険株式会社 CXマーケティング戦略部長 CMO チーフビジネストランスレーター 一般社団法人日本エビデンスベーストマーケティング研究機構 代表理事 木田浩理氏
三井住友海上火災保険株式会社 CXマーケティング部長 CMO チーフビジネストランスレーター
一般社団法人日本エビデンスベーストマーケティング研究機構 代表理事 木田浩理氏

MarkeZine:いわゆる「JTC(Japan Traditional Company)」と呼ばれるような伝統的な日本企業で、ゼロから組織を立ち上げることは困難も多いかと思います。当時、木田さんはどんな思いで入社されたのでしょう?

木田:「今の自分はこの堅い業界(企業)をどこまで変えられるだろうか」と考えていました。過去に大手通信キャリアや老舗百貨店などで働いたことがあるのですが、当時の私には、JTCならではの堅いカルチャーがあまり合わなかったのです。あれからキャリアを積み、成長した今の自分はどこまでJTCで通用するのか、チャレンジしてみたい気持ちがありました。

 入社当時、三井住友海上では効率化を目的として業務の一部をデジタル化する「デジタイゼーション」は進められていたものの、DXやマーケティングとは遠くかけ離れている状況でした。「データ活用」という概念すらない中で、白紙の地図を描いていく必要がありました。

マーケティングは5名のミニマム体制からスタート

MarkeZine:続いて、2021年10月 に初めてのマーケティング組織を立ち上げられた時のことも教えてください。まずどのようなことから始められたのでしょう?

木田:当時、社内にはマーケティングの専門家がいませんでしたので、私を含む中途メンバーで構成した5名の組織でスタートしました。本当に最少人数でのスタートです。

 最初に取り組んだのは、Webサイト全体の改善活動やコンテンツマーケなどの集客施策やCDP構築のための企画立案などです。とはいえ、5人しかいなかったので、1人ひとりが1領域をカバーする形で必死に取り組みました

 Webマーケティングなど短期的に成果が出やすい領域で「打ち上げ花火」のように成果を見せつつCDPのように時間や予算がかかるものについてじっくり着実に取り組み、中途人財の採用などで徐々に組織のケイパビリティを拡大していきました。

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この記事の著者

安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/18 09:30 https://markezine.jp/article/detail/48847

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