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有園が訊く!

AIが購買行動に介入する時代、ダイレクトマーケティングはどう変わる?【加藤公一レオ×有園雄一対談】

AEOは未成熟、発展に期待

加藤:現時点のAIチャットボットは、消費者のニーズに合ったデータフィードに基づいて、オーガニック(自然検索)、あるいは広告で結果を表示することはまだできていません。

 2024年にコマースメディア企業のCriteoとMicrosoft Advertisingが業務提携を発表していましたが、実は期待しているんです。将来的に両社の取り組みが進んでいけば、正確なデータフィードに基づいた広告を、Microsoft Copilotで出すことも可能になるかもしれませんよね。Amazonなどの大手ECサイトにアクセスしなくても、CopilotなどのAIチャットでコンバージョンまで完了することができると、「買うAI」「売るAI」のニーズは高まっていく、とみているのです。

有園:なるほど。その想像力はさすがですね。Microsoftとしては、ノーコメントでご理解ください。

加藤:今のところは、AIで商品を探しても、商品比較サイトの情報しか出てきません。「青汁」で検索しても「ロレックスの時計」で検索しても、比較サイトばかり。今後、他のAI各社も精度を上げていくと思います。

有園:ライブコマースについてはどのように取り組んでいるのですか。

加藤:ライブコマースの市場が盛り上がっている中国では、日本の大手家具量販店などのクライアントと「TikTok」を活用したライブコマースに取り組んでいます。日本でもEC機能「TikTok Shop」のサービスが開始されるため、活用していきます。

 一方、ライブコマースの業務は労働集約型になってしまうことが課題です。そのため、「AIデジタルヒューマン」を活用し、顔写真などの素材を使ってライブコマース用の動画を制作できるようにしていきます。低コストで休みなく配信できることに加え、多言語対応や視聴者とのインタラクティブなやりとりも可能です。

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan 有園雄一氏
Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan 有園雄一氏

「買うAI」で買い物体験はどう変わるか

有園:今後、ダイレクトマーケティングはどう変わっていくと考えていますか。

加藤:先日公開した「買うAI」に関する調査レポートでは、2035年には約49%の取引が「買うAI」を経由するようになると予測しています。リスティング広告やSEO、ECサイトを経由して買い物をする人が少なくなっていくのです。

 しかし、「買うAI」を活用すると、偶発的に何かを見つけて購入する喜びはなくなります。自分で検索し、比較検討を重ねて買うのも楽しいですよね。そのため、「買うAI」による買い物が100%になることはありませんが、消費者が明確に指示できる買い物についてはAIが担うようになると思います。

有園:AIにすべて任せられる買い物もあれば、そうではないものもあります。たとえば、出張でよく使うホテルが決まっていれば、「どこかのホテルに予約を入れておいて」とAIに指示するだけで十分ですが、自動車を買い替えるときは試乗などの体験が必要です。

加藤:通販の世界だと、化粧品の購入は完全自動化まで実現しないのではないかと思います。商品数が絞られていたり、最安値の商品を購入すると決めていたりするときはAIに任せられますが、すべての買い物体験がなくなることは絶対にないし、なくなるべきではないと思います。

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ダイレクトマーケティングの現場での勝ち筋

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/06/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49114

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