効果の35%を占める!シナジー発生の3条件
Kantarは、「複数メディアの相乗効果」に関する調査を実施。その結果、「複数メディアで展開されるマルチチャネルキャンペーンでは、重複接触によって生まれる相乗効果=シナジーが全体効果の35%を占める」と吉本氏は説明した。
つまり、広告効果の3分の1以上は、単一メディアの力ではなく、複数メディア間の相互作用から生まれているのだ。シナジーが発生する条件は大きく3つある。
条件1:メディア間でリーチが重複し、同一ユーザーが接触していること
条件2:出稿期間が重なっていること
条件3:広告素材に一貫性が保たれていること
第3の条件について、複数メディアでのキャンペーン展開を3パターンで調査した結果、バラバラな素材を使った場合を100とすると、同一素材の横展開で130%、さらにキャンペーンを統合した上で、メディアごとにクリエイティブのカスタマイズを行うと160%近い効果を生むことが判明したという。
※クリックすると拡大します
限られた広告費で効果を最大化するには、メディアの特性に合わせたカスタマイズが重要だ。
統合キャンペーンを成功に導くクリエイティブとは?
では、どのようにクリエイティブをカスタマイズすべきか? Kantar 吉本氏は「メディア効果の3分の2はクリエイティブによってもたらされています」と伝えた上で、4つのヒントを示した。
1つ目は、同じキャンペーンだと気づかせるための「キャンペーンキュー」を広告素材に7つ以上盛り込むこと。キャンペーンキューには、ロゴやメッセージのほか、日本では有名人やブランドの特徴、キャラクターを起用することでもキャンペーンの統合を促しやすく、そのキューに触れることでキャンペーンの世界観が思い起こされ、媒体をまたいでいても同じキャンペーンであることが消費者に伝わりやすくなる。
※クリックすると拡大します
2つ目は、ブランドとしてのコミュニケーションに長期的に一貫性を持たせること。長期的に蓄積された印象はブランドの世界観やイメージをより強固にする。
3つ目は、メディアによってクリエイティブの質に偏りを持たせないこと。メディアごとの品質に差があると、消費者の印象は品質の悪いほうに引っ張られてしまう。
4つ目は、メディアごとに特性を踏まえて広告素材をカスタマイズすることだ。
そんなTeadsは、顧客の広告素材をモバイル環境に合わせて無償でカスタマイズするソリューション「Teads Studio」を展開している。
※クリックすると拡大します
Teads Studioにより最適化されたクリエイティブでは、各指標の向上が見られている。たとえば、好意度が1ポイント上がると、利用/購買意向が0.7ポイント上がることがわかった。また、態度変容項目ごとの相関がすべてプラスの数字となった。
そして、視聴完了率が高いのにブランド認知に効果が見られないという課題の解決策として、態度変容の獲得単価「CPB(Cost Per Brandlift)」を下げる運用最適化を実現できているという。