ネイティブアプリとミニアプリの比較は?
第4に、ミニアプリは実現手段の変化ももたらす。ネイティブアプリと比較すると、Web技術を使用するミニアプリのほうが開発期間を短縮できる他、コストも抑制できる。加えて、審査期間の短縮や機種多様性への対応といった煩雑さも解消される。また、チャットボットと異なり、追加開発などで複数のベンダーと同時に取り引きすることも可能だ。
さらに、ミニアプリは従来のネイティブアプリと共存できる設計となっている点も特徴的だ。ネイティブアプリを構築する際はバックエンドのAPIが既に用意されているケースが比較的多く、ミニアプリに移行する際はミニアプリのUIのみを再構築すれば済む場合が多いという。
ミニアプリ時代の波に乗り遅れないために
ミニアプリが創り出す世界観を日本でも実現するため、宋氏率いるエボラニは2018年にanybotを立ち上げた。
anybotは売り上げアップに最適なコンテンツをノーコードで作成できるLINEと連携できるクラウドサービスだ。抽選やスタンプ、ゲームキャンペーン、ミニアプリなど顧客満足度の向上に効果的なコンテンツが充実している他、顧客データの自動管理やセグメント配信も可能で、リピート率向上も見込める。LINEから唯一直接出資を受けたLINEツールでもあり、これまで構築されたミニアプリの数は既に6万件を超え、海外進出も開始している。
宋氏は「2025年、日本でも大手企業各社が動き始めるなど、ミニアプリが拡大するタイミングが来ています」と見解を示し、ミニアプリの時代を迎えるにあたりanybotは開発や企画の悩みを次のように解決すると述べた。
開発面
anybotは、たとえば予約システム、会員証、売れ筋ランキング、投票システムなどをミニアプリ形式で構築することで、ユーザーとの深いコミュニケーションをノーコード・ローコードで実現可能にする。さらに今回、これらの機能を無料で利用できるコミュニティ版をリリース。上級者向けには、段階的にCSSやJavaScript、高度な外部連携機能なども今後利用可能になる予定だ。
また、開発面で特に重要なのはキャンペーンである。エボラ二は過去にサポートした様々な業界の多様なキャンペーンから、どのようなニーズが存在し、どのようなシステムがあればニーズをある程度カバーできるかという概念を抽象化し、キャンペーンパッケージを構築している。
運営面
KGIを先に決定し、因数分解を行って現状の数字を適切にトラッキングし、どの数字を伸ばすかを明確化することを可能にする。その後、施策のボリュームとして大規模キャンペーンやイノベーションを実施するか、マイナーなチューニングから始めるかを決定する。
またよくある課題として、そもそも数字のトラッキングができていない企業が極めて多い点が挙げられる。さらに、キャンペーンやチューニングを実施する際に莫大な開発コストが発生し、その成果に対する数値的保証もないため、判断を躊躇するケースが多い。その点、LINEミニアプリはデータトラッキングができるため、一気通貫での把握が可能だ。
企画面
時間や知識、リソースの不足から企画面で課題を抱える企業も少なくない。これに対し、「企画ネクスト」というコミュニティを新規オープン。ここでは、多数の信頼できる企画専門家、マーケティング専門家、デザイナー、開発専門家などが課題に対する解決方法を提案する。
最後に宋氏は「現時点で何らかの課題を抱えている方やミニアプリに興味がある方、そして漠然とした不安を感じている方、様々な方がいらっしゃると思います。LINEミニアプリという新しい波に乗り遅れたくない方々はぜひお声がけください」と講演を締めくくった。