商品の買われ方をデータで比較する
第2回では「時間による変化」を取り上げ、時系列による変化からデータを比較してみました。今回は新たなテーマとして、「商品の買われ方」について、「間口」と「奥行き」の観点からデータを比較して考えてみたいと思います。この2軸の視点を導入することで、自社の商品が消費者にどのように買われているのかを、大きな観点から細かい観点へと、徐々に深掘りしつつ理解することができます。
たとえば商品カテゴリ別に見たときに、「このカテゴリは入り口として機能しているものの、リピートや継続利用といった深い関与にはつながっていない」といった構造が明らかになるかもしれません。このように、間口と奥行きのバランスを軸にしてデータを読み解くことで、見かけの売上や顧客数だけでは見えてこない、消費者の購買の実態が明らかになります。
本稿では、間口と奥行きの観点を軸にデータを深掘りしつつ、実業務の場面でどういった「見せ方」があるのかをご紹介できればと思います。また本稿の最後には、マーケティング活動の高度化を見据えた次のステップについてご紹介しますので、ぜひ最後までご一読ください。
間口・奥行きとは
間口とは「接触の広がり」を意味し、購入率や購入人数を指すことが多いです。一方で、奥行きは「利用の深さ」を意味し、購入者あたりの購入数量、もしくは購入金額を指すことが多いです。すなわち、「間口」×「奥行き」が、トータルの売上数量や金額を表すことになります。

商品やブランドを間口と奥行きで分解して見ていくことで、それぞれがどのようなポジションにあるのかを立体的に把握することができます。ざっくりと間口×奥行きを4象限に分けてみると、どこに該当するかで異なる特性が見えてきます(図表1)。

【A象限】
• 多くの人にリーチでき、かつその多くが深く関与している。
• 国民的ブランドや、リピート率の高い日用品が該当。
【B象限】
• 興味関心を持つ人は多いが、継続にはなかなか至っていない。
• 話題性重視の商品や、キャンペーンによる購入が中心のブランドが該当。
【C象限】
• 限られた人のみが利用しているが、利用者は非常に高関与。
• 特定ファンに刺さる高単価・高頻度商品が該当。
【D象限】
• 認知も少なく、購入しても関与が浅い。
• 立ち上げたばかりのブランド、ニッチ商品が該当。
このように、単に売上だけを見ていては気づけない「広く浅い商品」や「狭く深いブランド」などの構造的な特徴が明らかになります。