「クリックの質は向上している」──Google幹部の発言
Googleは今回、検索トラフィックの「質」が向上していることを繰り返し強調している。幹部らは、直接的なトラフィック量の数値には言及せず、あくまで「訪問の質」に話題を集中させた。
マーチャントショッピング部門の副社長であるジェニー・チェン氏は、次のように述べた。
「私たちが確認したのは、人々がより多くの質問をするようになっているということ。まず質問をして情報を得て、それから別の質問をする。そうやってユーザーは情報を精査し、最終的にどのウェブサイトにアクセスするかを決めています」(チェン氏)
Googleは、AI検索によってユーザーの検索クエリ数が10%増加したと報告している。そのため、個々のクリックは少なくなったとしても、クリックに至る前の情報取得プロセスが濃密であり、結果として「より意図の明確な訪問者」が得られるという論理だ。
「質の高さ」は証明されていない
しかし、Googleはこの「質の向上」についての裏付けデータを提示していない。アメリカ地域・グローバルパートナー担当社長のショーン・ダウニー氏は次のように語った。
「私たちが期待しているのは、サイトに訪問したユーザーがより長く滞在することであり、それが実現すれば、より価値の高い訪問者になるはずです。ただし、現時点ではこの点に関する具体的なデータは提供できません」(ダウニー氏)
この「データがない」という事実は、マーケターやパブリッシャーにとって大きな不安材料である。Googleの主張は現状、希望的観測に過ぎず、検証が難しいのが実情だ。