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ホットリンクが探る、SNS活用企業の成功の秘訣

なんばグランド花月はSNS運用体制をどう変えた?公演担当の自由な発信から劇場らしい投稿へ変化した背景

劇場の裏側を見せる投稿で「なんばグランド花月らしさ」を追求

――現在、XとInstagramをメインで活用されていますが、どのように使い分けていますか?

川田:主にXは告知、Instagramは劇場の魅力を伝える場として使用しています。Xではリンクが貼れるため公演情報や当日券の案内などに活用し、Instagramでは芸人の写真など、告知以外のコンテンツを中心に投稿しています。

1ヶ月後の公演や、当日の販売状況を掲載(@namba_g_kagetsuよりhttps://x.com/namba_g_kagetsu)
Xには1ヶ月後の公演や、当日の販売状況を掲載

生田:また、XではUGCを促すために劇場のサンパチマイク(漫才の舞台でよく使われるセンターマイク)や席数に関するクイズ投稿を行いました。ファンの方々の劇場への愛着を深め、エンゲージメントしてくれる方が増えると次の投稿も見てもらえるので効果的です。

 お客様に公演の感想を気軽に投稿していただくために、「#本日の笑いの殿堂」というハッシュタグも設けました。このハッシュタグを周知する投稿を定期的に行なうことで、目にしたお客様からの新たなUGCも生まれています。

 さらに、なんばグランド花月らしさを出すため、劇場の裏側を見せる投稿に力を入れています。特に「芸人コンシェルジュ」という動画は川田さんのオリジナル企画で、劇場の雰囲気も含めて撮影され、非常に再生回数が伸びています。初めて劇場に来る方の不安を解消し、来場のハードルを下げる効果もあります。

――運用で心掛けていることは何ですか?

和田:芸人に登場してもらう投稿はタレントパワーを借りられる一方、撮影の依頼や調整が必要で労力もかかります。また、撮影できる場所が限られているため、どうしても似た印象の投稿になりがちです。ですから、タレントパワーに頼らずとも日々の投稿を行える運用を心がけています。

 近隣には若手中心の劇場があり、そこでは芸人がTikTokで踊るようなカジュアルな動画も多く投稿されています。しかし、なんばグランド花月は吉本の中でも格式があり、師匠クラスの出演者が多い劇場で、そのような投稿がしにくい面もあります。とはいえ、若年層にどう刺さるかも考えて、バランスを取りながら運用しています。

 ただ、これまで同様に告知は担当者が投稿していますが、ルールができたことで川田が告知以外の投稿に専念できるようになりました。

現場でのお客様接点から発信のヒントを得る

――SNS発信で大事にしていることや注意点はありますか。

和田:タレントありきの会社なので、当然ながらタレントさんのイメージが悪くならないよう注意しています。軽い気持ちでSNS投稿したことが炎上につながる可能性もあるので、「吉本」の看板を背負っていることを常に意識しています。

川田:一つひとつの投稿では、背景にお客様が映らないように注意することはもちろん、なんばグランド花月のブランドを保つため、明朝体などしっかりした印象を与えるフォントを使用するようにもしています。演者さんの衣装など、映したくないものがある場合は事前に相談してから撮影、投稿します。

 また私は日常的にお客様とお話しする機会があるので、よく聞かれる質問からコンテンツのヒントを得ています。たとえば劇場前での呼び込み時に、「コインロッカーの場所」「お手洗いの場所」「お子様連れの可否」などを聞かれます。そうした情報をSNSで発信するようにしています。

 ある時、投稿に対して社内の方から「女性がSNS投稿担当になったと思った」とコメントをいただきました。ここが変わった、という明確なものでなくてもアカウントの変化が伝わっているのだと感じます。

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芸人に頼らない投稿でも見てもらえる

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/24 09:30 https://markezine.jp/article/detail/49491

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