芸人に頼らない投稿でも見てもらえる
――反響の大きかった投稿があれば教えてください。
川田:数字的に反響が良かったのは、香盤ステッカーをスマホケースに入れた画像の投稿で、XでもInstagramでも好反応でした。これまで芸人の写真が伸びることが多かったのですが、芸人が載っていない投稿でも反響があると実感できました。

生田:ステッカーの投稿はInstagramライクなおしゃれな見た目もあり、非フォロワーにも反応してもらいやすかったのだと思います。おすすめに出てきた時に、お笑いに詳しくなくても「なんかおしゃれ、詳しく見てみたい」と興味を持ってもらえたのが成功要因だと分析しています。
――取り組みを始めてから、社内の反応や評価はいかがでしょうか。
和田:他劇場の支配人から「投稿タイミングが良くなった」と言われました。特に定期的な当日券情報の投稿ができるようになったことが大きな変化です。以前は不定期でしたが、朝の決まった時間に「当日券があります」といった情報を安定して発信できるようになりました。決まった時間にチケット情報を出すことが大事なんです。
日々のルーティン投稿が改善されたことで、他劇場からも相談を受けるようになっています。
SNSをホームページよりも情報を得られる場に
――今後のSNS活用についてお聞かせください。
生田:成果のあった投稿を続けたり広げたりしていくことと、なんばグランド花月らしさのある投稿、さらには川田さんや和田さんが作りやすいコンテンツを考えていきたいと思います。
川田:さらに発信を強化したいと思っています。お客様がXやInstagramを通して、ホームページよりもリアルタイムに最新情報を得られる状態を作っていきたいです。
和田:この体制を継続し、安定運用を通してアテンションを取れば売上につながるという仮説を実証していきたいです。
ここに注目!なんばグランド花月流SNS活用のポイント
なんばグランド花月さんの取り組みは、「専任の担当者がいない中で、いかに安定的なSNS運用を実現するか」という多くの企業が直面する課題に対して、実践的なヒントを与えてくれる事例と言えます。
当初は「できるときに、できる人が投稿する」という体制でしたが、2024年に正式なSNSチームを立ち上げました。運用ルールの整備やマニュアル化、KPI設計、投稿のPDCAサイクル構築などにも着手し、運用の安定化と投稿の質の向上を両立されています。
特にInstagramではモニタリングする指標を絞ることで、成果の可視化と投稿をスピーディーに改善する体制を実現。SNS内の指標の伸長だけでなく、SNS外への好影響も感じられるようになったのは、大きな前進だと考えています。
SNS専任者がいない状況でも、無理なく続けられる仕組みを整えることで運用の質を高めていく。この着実なアプローチは、リソースが限られた多くの組織にとって参考になるのではないでしょうか。