UGCがユーザーの態度変容へ与える影響が大きいホテル・観光業界
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ホテル・旅館、旅行・観光業界は、SNS活用と相性が良い業界の一つです。企業からの働きかけがなくても、SNS上で口コミが発生しやすく、「行きたい!」「行ってみた」「〇〇ホテルおすすめ」のように語られる切り口も様々です。
文章のみの気軽なつぶやきから美しい風景写真、作り込まれたショート動画など、様々なフォーマットでUGCが投稿されるのも、この業界ならではと言えます。
また、UGCがユーザーの態度変容へ与える影響が大きいことも特徴です。SNSが普及する前から旅行前の情報収集は一般的でしたが、現在はSNSを使った情報収集が若年層を中心に増えています。実際に、近年の調査結果を見てもその傾向は明らかです。
株式会社リクルートが2025年4月に公開した「国内宿泊旅行ニーズ調査 2025 春 調査報告書」によると、旅行先を選定する際に「個人や旅行メディアのSNS」を重視する人は全体で15.3%に上り、これはガイドブック(13.8%)やテレビ(12.8%)、雑誌(10.0%)といった従来メディアを上回る水準となっています。
また、最も重視する情報源として「SNS」を挙げた人は全体で5.6%となり、こちらもガイドブック(3.9%)やテレビ(2.4%)、雑誌(1.3%)を大幅に上回りました。この結果からも、動画サイトやSNSで検索した際に、「その観光地や宿泊施設に関する情報が検索結果に表れるか」が重要だとわかります。
さらに、旅行・観光前に情報を検索するユーザーは、公式アカウントからの発信だけでなく、ユーザーのリアルな声も参考にしています。そのため、自社アカウントからの発信だけでなく、SNS検索で口コミがヒットするかも同様に重要です。
たとえば、写真付きで「◯◯に行ってきた」「◯◯に泊まったら最高だった」といった口コミが出ていたら、検索したユーザーは直感的に「行ってみたい」「詳細情報を調べよう」と感じるでしょう。だからこそ、ユーザーによるUGC創出を促進する戦略的なアプローチが不可欠となっています。
UGCは、現地での「良い体験」があってこそ
ここまでの解説から、「では、口コミを投稿していただけるようなSNS施策を!」と考えている方もいらっしゃるかと思います。しかし、UGC創出の大前提は、お客様に「良い体験」をしてもらうことです。ホテル・旅館、旅行・観光業界に限らず、あらゆる業界に当てはまります。
ユーザーがSNSに投稿する動機として「自分の体験の良さを広めたい、誰かの参考にしてほしい」「魅力を知ってほしい」もあります。その観点からも、「お客様に良い体験をしていただくこと」を第一に考えましょう。宿泊中や観光中はもちろん、情報収集段階や予約をするときの体験、実際に宿泊や観光した後も含め、すべての接点が対象となります。
また、多くのユーザーにとって宿泊・旅行・観光は体験する頻度が低く、非日常感や特別感があります。体験中はもちろん、体験する前から「連休を利用して遠方に行くから、Facebookに投稿しよう」「せっかく〇〇に行ったから、撮った写真をInstagramにアップしよう」と考える人も少なくありません。「SNSに写真や感想を投稿しよう」というモチベーションが高い場合が多いです。その期待に応えるような体験の提供こそが、何よりも重要なのです。
では、どのようなサービスや体験、商品がUGC創出につながるのでしょうか。