高速なPDCAを実現する組織とKARTE活用
高速でPDCAを回すためには、組織体制も重要となる。レシチャレではグロース施策と非連続施策を分け、目標や評価の方法も差別化している。
「たとえばグロース施策の成長率は着実に年間120%を目指し、非連続施策は当たれば150%いくかもしれないというように目標値を分けて設定します。また、グロース施策は、開発に2〜3週間かかるものだとしても、1週間ごとに何らかのKPIを設定してインサイトを出すようにします。1週間で結果が出ないものはやりません。
一方、非連続施策も1週間でスプリントを行いますが、失敗する可能性がある前提で都度、指標を決めてチャレンジします。まず1ヵ月チャレンジしてみて、失敗したらそれを糧に次の目標を決めるというように進めます。このように、グロース施策と非連続施策は分けて考えることが重要です」(坪田氏)
こうしたスプリントにおける効果検証に、KARTEを活用している。主に利用している機能は、顧客データや行動データなどをデータベースで統合して顧客の解像度を上げ、各接点でコミュニケーションするためのセグメントを抽出できる「KARTE Datahub」と、メールやポップアップなどユーザーに効果的な方法やタイミングでコミュニケーションを取る「接客サービス」だ。
「KARTE Datahubでセグメントを抽出して、表示の出し分けを行ったり、タブの並び順を変えたA/Bテストを実施したりしています。また、接客サービスを活用して画面の一部を覆って表示されるハーフモーダルを出すなどしています。高速でPDCAを回すには、こうしたKARTEの機能がないと成り立ちません」(坪田氏)
Slackで情報を蓄積し・共有する
KARTEを運用するには、データをセットアップするエンジニアと、その上でディレクションをしていくCRM Opsの存在も必要だ。
「クラシルのCRM Opsは、PDCAを回すことへの執着が強い点も特徴です。1週間どころか1日ごと、ときには1時間単位でPDCAを回しています」(大村氏)
高速にPDCAを回して得たインサイトは、きちんと蓄積・活用してこそ成長の糧になる。クラシルのCRM OpsはSlackのオープンチャンネルに情報を集約することで、社内での情報共有・活用をしている。接客サービスを使ったクリエイティブのPDCA、クリエイティブごとのファネル分析、デイリー・アワリーでの施策管理など様々な知見が集約され、社内のメンバーであれば誰でも検索・閲覧できるようになっている。
これらの資料を経営陣も定期的に閲覧するため、現場のスタッフと意思決定の基準が合う。さらに開発現場も、経営視点でのフィードバックを得られるという。

