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MarkeZine Day 2026 Spring

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なぜDECORTÉは過去最高売上を記録? EC×OMO戦略の成功要因と体験設計フロー

顧客理解→育成ステップと必要施策の可視化まで実現

 その顧客理解に役立ったのが、KOSÈ IDにひもづく数年分のWeb・実店舗の売り上げデータだ。データを分析したプレイドは、OMOの実現に向け、「ECでの購入回数」と「実店舗での購入金額」を軸にした顧客セグメンテーションを実施。「新規獲得」と呼ばれるエントリー層から、「ロイヤル積極」と呼ばれる愛用者層まで5段階に分類した。この「積極」「消極」の区分けが「顧客の関与度」で、金額と購入回数に応じて設定されている。

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 そして「ロイヤル積極」層のユーザーに対してN1分析を実施し、顧客行動の理解に努めた。それによると、購入意思の高いロイヤル積極層のユーザーは、店頭での購入の前日にECサイトで熱心に情報収集したり、高額商品の購入後に口コミを検索して購入の正当性を確認したりする行動が見られるなど、新たな発見が多数あったという。

 もう1つの「あらゆる接点でのおもてなし」を実現するために何を行ったのか。

 この鍵となったのが、「2020年に策定されたブランドステートメントとクレド(行動指針)でした」と命尾氏は説明する。このクレドの精神を店頭だけでなくECでも体現することを目指しており、そこで協力したのがプレイドのカスタマーサクセス担当者だった。内山氏によると、「カスタマーサクセス担当者がオンラインの顧客行動を分析し、Webで体現すべきDECORTÉクレドは何かをコーセー社員の方々とディスカッションしながら進めていきました」という。現在もこうした取り組みをベースにCRMの高度化を図り、顧客育成シナリオ策定とブラッシュアップに努めているそうだ。

 ただDECORTÉの場合、顧客育成を考えるうえでの難しさがある。それは商品単価が高額なものが多いので、ブランドロイヤルティを測るためには、購入金額だけでなく様々な要素を加味しなくてはいけない点だ。

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 そこで、単純なRFM分析だけではなく、「ブランドストーリーを閲覧する」「商品への口コミやコメントを投稿する」「ギフトを購入する」といった購入以外の行動も含めてエンゲージメントを評価する仕組みを取り入れた。こうしてロイヤルティの高い顧客層を理解するためのアプローチを進め、LTVのさらなる最大化を目指しているという。

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AIは顧客体験を向上させるパートナー

 セッション終盤では、クロストークとして内山氏から3つのテーマが提示された。

 1つ目は「プロジェクトを推進するうえで大事にしていること」。これに対し命尾氏は、自身の心構えとして「いろいろな部署の人と関わり、ブランドの理解やモノの流れを理解することに徹底的にこだわっています」と答える。また仕事の進め方についても、社員に対して「何かを習得するまで同じことを繰り返させる」のではなく、「どんどん新しいことに挑戦させる」ことを大事にしているという。そうした経験を経ることで、「新しいスキルや知識が身に付く学びが増えるのでは」(命尾氏)と話す。

 次の「AIで実現できる価値創造、新たな顧客体験とは?」という問いに対しては、顧客データの要約や分析にAIを活用することで、ベテランスタッフでなくても適切な接客ができるようになる可能性を指摘。特に今後の人口減少社会や海外展開においては、「AIを活用してブランドの顧客体験の品質を保ち、向上させることができると思います」との期待を寄せている。

 同時に、「人間による接客の価値は依然として重要であり、AIはそれを支援するパートナーとしての役割を果たすと思います」と強調した。

 最後の「参加者へのメッセージ」として、命尾氏は「デジタル戦略を進めるうえでは、ブランドの主体性をしっかり持つこと」と訴える。自社の主体性を持ちながら、適切なパートナーを選び、最新技術を適切に活用することで、ビジネスを大きく成長させることができると述べた。内山氏も同意し、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社プレイド

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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2025/11/21 11:00 https://markezine.jp/article/detail/49598

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