猛暑でも快適に過ごせる「新しい原宿のかたち」を提案
MarkeZine:今年実施された「原宿-3℃プロジェクト」は、花王主催のもと、東急不動産、東急バス、ゆあそび(小杉湯原宿)、WITH HARAJUKU、渋谷マークシティ、原宿竹下通り商店会、原宿表参道欅会といった複数の企業・団体が共催、渋谷区が後援を務める大規模なプロジェクトとなっていました。
葉田:はい、様々な企業や地域の方々と協業し、規模を拡大して実施することができました。実は、原宿には、竹下通りを中心に通りに影となる場所が少ないと言われています。この猛暑だと原宿でショッピングを楽しめる人も少なくなってしまうのではないか――そんな課題感を参画企業・団体の皆さんも持っていたようで、プロジェクトには前向きにご参画いただけましたね。
また、気温が35℃を超える猛暑下では、人は体感温度を-3℃下げることで快適に感じるというデータがあります。この「-3℃体験」を原宿の街の各所に設置することで、「猛暑の中でも快適に過ごせる新たな夏の原宿のかたち」を提案するプロジェクトとして実施しました。
期間中は様々な形で“涼”を届けるコラボ商品やコンテンツを展開し、花王はビオレの「冷タオル」や「冷シート」、めぐりズムの「貼る炭酸 ジェルパック」などの商品サンプリングも実施しました。


体験は情報より強く・長く残る、マーケティング上の狙い
MarkeZine:花王としてはマーケティング的な狙いもあり、原宿-3℃プロジェクトを実施されていると思います。実際、どのような目的を設定されていたのでしょう?
葉田:花王は中期経営計画「K27」で「未来のいのちを守る」ことをビジョンに掲げています。今回のプロジェクトでは、「災害級の猛暑という社会課題の解決」に貢献することを重視していました。
加えて、弊社商品の認知拡大やブランディング、それによる売上拡大の目的もちろんありました。サンプリングとして一方的に商品をお渡しするのと、原宿という街で情報を展開しながら、文脈を載せてサンプリングを行うのとでは、商品やブランドの認知のされ方が大きく違ってきます。“体験”として商品やブランドを届けることで、背景にある思いや文脈も伝わりますし、その“体験”は“情報”よりも強く残るはずです。
日常の生活の中で自然に商品に触れてもらう“環境づくり”が非常に重要だと考えています。
MarkeZine:今回、原宿をメディアとして活用されたわけですが、どのように情報を展開されたのでしょうか?
葉田:主な情報流通経路は、駅構内や竹下通りの看板などのOOH、そしてラッピングバスでした。最初にメディア向けのPRイベントを実施し、各メディアから一次情報が発信された後、実際に原宿に訪れた人々の体験を通じたUGCが自然発生的に生まれ、人から人へと多層的に情報が展開されていった形です。


実際、「原宿-3℃プロジェクト」の認知経路で多かったのは、「SNS」と「口コミ」でした。体験者の約7割が30代以下だったので、SNSでの情報拡散も起こりやすかったのだと思います。