ビオレ「冷タオル」にどのようなBtoBニーズが?
MarkeZine:BtoB事業者に「暑熱対策」への課題意識や、関連商品へのニーズはどの程度あるのでしょうか?
小林:2025年6月に施行された「改正労働安全衛生規則」により、事業者への熱中症対策義務が強化されました。一方で、企業の労務担当者の方とお話しすると、「具体的にどう対策すればいいかわからない」と悩んでいる企業が多い印象です。2024年の夏にビジネスパーソン向けの展示会「猛暑対策展」に出展した際も、多くの労務担当者から現場でのお悩みについてお聞きしました。
現在ビオレでは大容量入りの業務用「冷タオル」を提供していますが、これの優れている点は導入コストの低さです。暑熱対策として大型の機械設備などを提供されている企業様も多くいらっしゃいますが、これらはやはり簡単に導入できるものではありません。その点、「冷タオル」は低コストで、手軽に導入していただくことができます。

MarkeZine:なるほど。業務用の「冷タオル」は、どのような販路で展開されているのでしょうか。
北村:花王からの直接販売もありますが、主に法人向けカタログ企業様(アスクル、スマートオフィス、TRUSCO)での販売となります。

私の所属する「ビジネス開発部門」は、小売流通業への営業ではなく、自治体や法人に対し営業活動を担う部署です。ビジネスの側面もありますが、社会課題解決を自治体や法人と一緒になって取り組んでいく提案を行っています。
たとえば、職場環境改善や女性活躍をテーマとした生理用品の備品化提案である「職場のロリエ」、子育て支援や保育士の業務軽減をテーマとした保育園向けのおむつサブスクリプションサービス「Kao すまいる登園」などがあります。このような社会課題解決の一環として、「暑熱対策(ビオレ冷サポート)」のプロジェクトチームを2025年1月に立ち上げ、次なる注力事業として取り組んでいるところです。
現状は、花王とお取引のある企業様を中心に提案し、多数共感をいただいています。さらにこの取り組みの認知を上げるべく、「冷サポート」紹介の名刺を作り、弊社関係社員が配るなど地道な普及活動も行っています。名刺には冷サポートHPに飛ぶQRコードがあり、そこから問い合わせフォームにご連絡いただけるようになっています。

清水建設と協業で実証研究を。現場からの声をもとに商品改善も
MarkeZine:立ち上げ1年目である2025年は、今後の拡大に向けて課題を見出し、事例作りにも精力的に取り組まれているとお聞きしました。
北村:はい、今年6月から清水建設様と協業でお取り組みさせていただいています。「冷サポート」のコンセプトをお話ししたところ、必要性を感じていただき、まずはスモールスタートで「冷タオル」の提供から始めました。定期的にアンケートを行って現場目線でのフィードバックをいただき、商品の改善に活かしています。

MarkeZine:商品開発の面で、これまでのBtoC事業と違いを感じた部分はありますか?
北村:建設現場では、床が鉄板のように暑く、照り返しで非常に気温が上がります。BtoCの生活者基準で開発しても実用性の要件を満たさず、場合によっては現場の邪魔になってしまう可能性もあります。そのため、従業員の皆様からいただく声を開発チームに細かく共有しながら、これまでの成功体験にとらわれないマインドで改善を進めています。

とはいえ、清水建設様からは現場での実用性を評価いただいています。具体的には、事前冷却が不要である点、個装パッケージであるため持ち運びがしやすい点、使い切りのため衛生的に使用できる点、ファン付き作業服との相性などです。費用対効果の高さを実感いただけて、継続的な活用につながっています。