UI/UX改善でCVR上昇、“お気に入り店舗”が鍵
渡邉氏は「プロジェクトの成果も出始めている」と、具体的な効果についても言及した。
公式アプリのUI/UXを改善したことで、予約の成約率は劇的に向上。月を追うごとにCVRは上がっている状況だという。また、データ分析を行ったことで、従来はあまり重要視されていなかった「『お気に入り店舗の登録』という機能がCVRに大きく寄与していたことがわかってきた」と話す。
さらに、今回のプロジェクトは社内組織にも大きな変化をもたらした。渡邉氏によれば、これまでは「イベントやキャンペーンを企画し、それをいかに多くの人に伝えるか」というマスマーケティング的な発想が中心だったという。
しかしプロジェクトを通じて、データに触れるメンバーだけでなく、企画に直接関わらない従業員の意識まで変化した。「『こういうタイミングで、こんな気持ちでいるお客さまに、このメッセージを届けたら来店してくれるのではないか』。そんな会話が、普段の日常会話の中でも生まれるようになったのです」と渡邉氏は語る。データ活用が、画一的な情報発信から、顧客一人ひとりの感情に寄り添うコミュニケーションへと組織全体をシフトさせたと、渡邉氏はその手応えを強調した。
データ起点で体験価値10倍へ──DXプラットフォーム構想とUTAO連携
今後の展望について渡邉氏は「データ起点の新しいカラオケ体験を創出し、顧客体験価値10倍を目指す」と語る。

また、「カラオケDXプラットフォーム」も構想中だ。自社で開発・運用しているアプリ、POSシステム、データ基盤などを一つのプラットフォームとしてパッケージ化し、業界の他社へ展開していく考えである。渡邉氏は「業界全体が盛り上がっていけるような活動をしていきたい」と力を込めた。
加えて、リアル店舗の「ジャンカラ」と「UTAO」もシームレスに連携させる。
「例えば、ジャンカラで歌った曲が、帰りにアプリを開くとその歌がレコメンドされたり、それをうまく歌唱している方の動画が簡単に閲覧できたりと、リアルとオンライン上の体験を繋げていきたいです。Spotifyさんのようなサードパーティデータとの連携なども将来的には見据えております」(渡邉氏)
TOAIのデータ戦略は、一企業の成長戦略に留まらず、カラオケ業界全体の未来を創造しようとする先進的な取り組みだ。講演の最後、及木氏は「我々もTOAI様の目指すべき姿の実現を一緒に担えればと思います」と、これまでの伴走支援を振り返りつつ今後の連携にも意欲を見せた。
さらに、「我々はビジネスとデータを双方向に翻訳し、戦略策定からデータ基盤構築、マーケティング施策の実行までを一貫して支援しています。皆様のビジネス変革においても、ぜひご相談いただければ幸いです」と続け、セッションを締めくくった。
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TOAI様へインキュデータが個別インタビューを実施し、プロジェクトの目的や抱えていた課題、データ活用への取り組みについてお伺いいたしました。プロジェクトを経て得られた成果についても詳しく記載しておりますので、本記事に興味を持たれた方は、インキュデータ作成のTOAI様の事例インタビュー資料も併せてご覧ください。

