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人間のクリエイティビティとパッションが「ロジックの壁」を超える、AI時代の事業開発手法

広告・テクノロジー・コンサルの3つのケイパビリティを融合した「FusiONE」

 では、博報堂DYグループではどのように新規事業開発を支援しているのだろうか?

 新規事業支援サービス「FusiONE」では、単なるコンサルティングサービスではなく、企業の新規事業を支援する際に、デザイナーやクリエイターなど多様な専門家がチームに加わるプロジェクト型を採用。広告会社としての強みに加え、デジタル・テクノロジーに強い人材や、コンサルティングファーム出身のビジネスコンサルタントなど、異なるバックグラウンドを持つ人材を掛け合わせることで、「広告・テクノロジー・コンサル」の3つのケイパビリティをバランスよく融合させることを意識している。

 だが、これまでコンサルは論理的に課題を解決し、広告会社はクリエイティブな力で課題を解決してきた。両者の融合を「言うは易し、行うは超難し」と中原氏は表現する。共通言語も文化も違うからだ。この点をどうクリアしたのだろうか?

 同社が採ったのが、「パーセプションチェンジ(認識変容)」を起こすことだった。まず、コンサルと広告会社、両方のバックグラウンドを持つ「翻訳者」の役割を担える人材を意図的に配置。これにより、「コンサルは自分たちの価値を拡張してくれる存在だ」という認識をクリエイティブ人材側に醸成し、真の融合を目指したのだ。

 「FusiONE」はアイディエーションや市場調査・マーケティングリサーチ、戦略や事業計画の策定からテストマーケティングなど、新規事業の構想段階から実際の事業拡大まで、一気通貫で支援できるサービスとなっている。一般的なコンサルティングサービスでは、市場調査から戦略策定を行い、そこからビジネスモデルや事業計画を作っていくという流れが基本だが、「FusiONE」では博報堂DYグループの強みであるクリエイティブ力や生活者視点を掛け合わせ、より実効性の高い新規事業支援を行っているのが特徴だと言えるだろう。

AIは人間の能力を拡張する「思考の補助輪」

 もともと新規事業支援の市場には、「オールラウンドプレイヤーの会社がいない」という構造的な問題があった。ロジカルとクリエイティブを兼ね備えた人材は極めて希少だからだ。

 この課題を解決したのがAIの存在だ。創造的かつユニークな発想や緻密な事業計画、市場規模の試算などをAIが補完してくれるようになった。AIの力を借りることで、「ひとりの傑出した人材」を探さなくても、オールラウンドな価値提供を実現できるようになったと言える。

 このようにAIを導入する背景について、中原氏は「スケールとケイパビリティのジレンマを突破するための、事業戦略上の必然だった」と語る。AIは単なる流行のツールではなく、同社のビジネスモデルを根幹から支える重要な要素なのだ。

 たとえば「FusiONE」が提供するサービスの一つ「バーチャル生活者」では、30代・港区在住・特定の趣味を持つ女性といった特定のペルソナを再現したAIがインタビューに応じてくれる。

 実際の生活者へのインタビューを通してニーズや課題を探っていく際、どうしても何もない状態から深い本音を引き出すのは簡単ではない。そのため、何か新しいアイデアや企画を考えていく時に、まずはバーチャル生活者にインタビューを行い、「仮説を磨いてから実際の生活者に調査を行う“ゼロ次インタビュー”の位置づけになっている」と中原氏は説明した。

 このように、ビジネスコンサルタントのロジカルな強みと、広告会社出身者のクリエイティブな発想力を同時に活かしたチーム体制のもと、AIを“思考の補助輪”として取り入れながらオールラウンドな新規事業支援に取り組んでいる。

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AIが進化しても新規事業の成否は「パッション」が鍵を握る

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この記事の著者

古田島 大介(コタジマ ダイスケ)

 1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、エンタメ、カルチャー、web3、NFTなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社博報堂DYホールディングス

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/10/29 10:00 https://markezine.jp/article/detail/49920

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