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資生堂「クレ・ド・ポー ボーテ」グローバルECサイト構築の道のり──ブランドらしさと実運用の両立

各国・誰もが「迷わず使える」サイトデザインの仕組みと運用をいかに実現するか

MZ:電通デジタルとして、今回どのような支援を行われたのでしょうか。

谷村:電通デジタルでは2018年からクレ・ド・ポー ボーテのグローバルWebサイトの制作・運用を支援してきました。私たちが重視したのは、GMWを作って終わりにしないことです。各リージョンが日常的に使いこなせるよう、実装から運用まで伴走できる体制を築くことを心がけました。

 その核となるのが新しい「グローバルデザインシステム」です。過去のデザインガイドラインでは触れきれていなかった細部まで言語化・ルール化し、マーケット担当のデザイナーだけでなくサイト運用に関わる誰もが参照できる共通言語にしました。アクセシビリティのWCAG2.2に準拠することを目指して、色・余白・ボタン領域といった様々な要素を定義し、各マーケットが翻訳などの調整をしてもアクセシビリティ基準を崩さない設計にしています。

 運用面では「オンボーディングハンドブック」の整備が大きな役割を果たしています。実装手順、制作・運用ルール、ローカライズの進め方を体系立てて明文化し、各マーケットの担当者が迷わず手を動かせるように提供しました。

株式会社電通デジタル グローバルセンター ビジネスプロデュース第1事業部 谷村明日香氏GMWの実装フェーズを担当。デザイン、開発、運用、アクセシビリティのチームのハブ役として連携しながら、仕組みとしてブランドをグローバル展開できる環境作りを支援した。
株式会社電通デジタル グローバルセンター ビジネスプロデュース第1事業部 谷村明日香氏
GMWの実装フェーズを担当。デザイン、開発、運用、アクセシビリティのチームのハブ役として連携しながら、仕組みとしてブランドECサイトをグローバル展開できる環境作りを支援した。

谷村:電通デジタルならではの強みは「ブランド理解×技術実装×グローバルマネジメント」を一体で推進できる点にあります。

 資生堂様のブランド哲学を踏まえ、デザイン、開発、運用、アクセシビリティのチームが密に連携。たとえばデザイン段階でアクセシビリティチームの調査を入れながら進めるなど、デザインとUI/UXの双方から美しさと機能性の両立を支えました。また電通グループの海外拠点とも連携し、各マーケットに最適化した展開を実現しています。

ブランドらしさとユーザビリティを両立するデザイン設計

MZ:デザイン面はどのように設計したのですか。

アントワーヌ:Webサイトで世界中のユーザーに対応し、プレミアムな体験を実現するため、ユーザーセントリックなデザインを目指しました。ユニバーサルな体験を届ける上で、アクセシビリティは非常に重要です。

 意識したポイントの一つは、画像の上にテキストを埋め込まないことです。テキストを埋め込むと海外リージョンに展開した際に翻訳が難しくなるとともに、音声読み上げ対応などができないためアクセシビリティの観点からもNGです。そのため、画像とテキストを別のものとして扱うことを徹底しました。

 さらに、一貫性のあるUIパターンやデザインシステムを活用し、ブランドイメージを損なわずにスケーラブルなデザインを実現しています。

株式会社電通デジタル グローバルセンター ソリューション事業部 デムリエ・アントワーヌ(Antoine Desmeliers)氏GMWのデザインやUI/UXとグローバルデザインシステムの構築を担当。グローバルに向けてよりよい体験提供を実現するミッションを担う。
株式会社電通デジタル グローバルセンター ソリューション事業部
デムリエ・アントワーヌ(Antoine Desmeliers)氏

GMWのデザインやUI/UXとグローバルデザインシステムの構築を担当。グローバルに向けてよりよい体験提供を実現するミッションを担う。

MZ:機能面についても詳しく教えてください。

アントワーヌ:Figmaでデザインシステムを構築し、各リージョンが要素をドラッグ&ドロップして追加・削除できる仕組みを作りました。これにより、各リージョンが一からサイトページを作る必要がなくなり、効率的にWebサイトを調整できます。

 グローバルのWebサイトがあっても、各国が自国マーケット向けにカスタムページを独自に作ってしまうケースはどのブランドでも起こり得ます。そこでブランドの世界観を守りガバナンスを効かせるため、デザインシステム上でリージョンごとに変更できる範囲に適切な制限を設けました。これにより、各リージョンのサイトの調和と一貫性を保ちつつ、現地ニーズにも柔軟に対応できるようになっています。また、グローバルと各リージョンのチーム間でのコラボレーションがスムーズになり、公開までのスピードや品質向上にも寄与しています。

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共通の運用基盤とAI活用でスピーディーな調整が可能に

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社電通デジタル

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/11/26 11:00 https://markezine.jp/article/detail/50011

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