インストールの正しい“起点”をいかに突き止めるか?
――正しい計測とLTV向上のために、AppsFlyerのソリューションにはどのようなものがありますか。
松下(AppsFlyer):AppsFlyerはアプリマーケティングの計測ツールを提供しており効果計測、分析、エンゲージメントなど、提供するソリューションは多岐にわたります。たとえば、ユーザーの流入経路を正しく計測したり、よりユーザビリティの高いリンクを提供したりするサポートをしています。
私たちの思想では、オーガニック(自然検索)による流入は“ない”と考えています。ユーザーは間違いなく何かのきっかけによってサービスを認知して、インストールに至るからです。何が起点となってインストールが発生しているかを突き止めるため、インストールに至ったときの状況や、効果的だったクリエイティブなどを細かい粒度で計測するソリューションを提供しています。
――具体的に広告主の課題に応じて、実際にどのような提案をしているのですか?
新井(AppsFlyer):まずは「Protect360」の導入をお勧めしています。当社の大規模なデータセットを活かして、お客さまのデータをリアルタイムで守るソリューションです。
「プロテクト」という名称ですが、“攻めのツール”だと考えています。リアルタイムで不正広告をブロックすることで、安心して様々な広告媒体を試せるからです。Protect360に加え、様々な手法で算出されたデータを組み合わせながら、総合的に評価するのが良いと思います。
配信チャネル偏重が、フラットな評価と改善を妨げる
――収益性を高めるためには、「どこから」質の高いユーザーを連れてくるかが重要かと思います。現在、どのようなチャネルを使う企業が多いのですか。
峯(Unity):日本ではいわゆるウォールドガーデンと呼ばれる大手媒体を主軸に広告を配信するケースが多いです。リーチできるユーザーの母数が多く、最適化技術も進歩しているため、目標のROAS(広告の費用対効果)に合わせやすいからです。

一方、その方法では最適化が進むほど目標に対する確度は上がるものの、ボリュームが先細りになる傾向があります。また、特定のチャネルに依存すると、その媒体のトレンドに収益が左右されてしまいます。信頼できる大手媒体で成果を出すことも重要ですが、安定したパフォーマンスを得るためにも、新しいチャネルへのチャレンジも非常に重要です。
――実際に、チャレンジしている企業もありますか。
峯(Unity):海外、特に中国の企業は、ゲームのローンチ時から幅広いチャネルで大々的に配信し、その後にチャネルを絞っていくアプローチが多いです。反対に、一つずつ試していく方法は、どこかでつまずいたらそこで終わってしまいます。どちらのアプローチを選ぶかによって結果が大きく変わってきます。
また、配信先が一つに偏ると、施策がうまくいかなかったときに、たとえば「クリエイティブが悪かったのか」「配信先のチャネルに問題があったのか」「そもそもゲーム自体に課題があったのか」といった原因の切り分けが難しくなり、正しく改善の打ち手を絞り込めません。フラットに施策を評価するためにも、配信面を広げていくことが重要です。
――広告配信先を広げる際に、どのチャネルに出稿するか、判断軸はありますか。どこを評価すると良いのでしょうか?
峯(Unity):CPIが同じであっても、チャネルによって特性が異なるため、その違いを正しく認識する必要があります。たとえば、ベンダーと直接契約をしているか。できるだけ直接的なリレーションを持っているところを選ぶと、最小限のリスクでチャネルを広げることにつながります。
また、各チャネルの指標を理解することも重要です。インプレッション数やクリック数など、同じ指標でもチャネルによって計測方法や定義が違うこともあります。それを媒体側がしっかりと説明してくれるかどうかもポイントです。Unityは、開発者の皆さまが適切な判断を行えるよう、可能な限り多くのデータを共有する透明性の高いプラットフォームを提供しています。

