メーカー企業の最大の悩み「流通横断の配信」を可能に
南口:ここまでメーカー目線でのリテールメディアの課題とジレンマについて伺ってきました。益川様のお話は、私たちが日々接しているメーカー様に共通する非常にリアルな悩みだと感じます。
多くのメーカー様が課題として挙げるのは、「データ」「配信タイミング」「広いリーチ」の3点です。また、メーカー側でリテール個社ごとにリテールメディア施策を最適化していくというのは、なかなかハードルが高いですよね。「リテールを横断してアプローチできない」という点は日本市場の構造的な課題であり、メーカー様が一番悩まれているポイントです。
そうした業界の課題を踏まえて、DearOneはリテールメディアプラットフォーム「ARUTANA」を展開しています。川村さん、「ARUTANA」の説明をお願いできますか?
川村:「ARUTANA」は、Advertisingを、Retailを通じてUniqueに配信可能なTANA(棚)という意味です。様々なリテール企業と提携し、広告の一括配信を可能にすることで、広いリーチと高い広告・販促効果を出せるプラットフォームとなっています。現在、累計MAU数4,750万、インプレッション数が4億5,300万に達しており(2025年11月時点)、直近では大手コンビニエンスストア様にもご参画いただいています。

リテールメディアが「購買」に寄与する理由
南口:「ARUTANA」はどのような点から、購買に貢献するでしょうか?
川村:リテールの公式アプリは、75%が店内で起動されます。つまり、購買に非常に近いタイミングでアプリが開かれる傾向にあるため、購買行動に繋がりやすいというポイントがあります。また、リテールの公式アプリを使用しているユーザーはロイヤルカスタマーが多く、購買のポテンシャルが高い層へリーチできるのも特徴です。
もう一つ、記憶する“物”と“場所”は同じであるほうが想起されやすいという「環境的文脈依存効果」もあります。皆さんも、家で醤油を切らしていることに気づいて、スーパーに行ったのに、結局醤油を買い忘れて帰ってきてしまった……といった経験があるのではないでしょうか? つまり、想起させたい商品は、その場(店舗)で訴求したほうが効果が高いということです。

