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MarkeZine Day 2026 Online

MarkeZine Day 2026 Spring

「ラブブ」ブームとリキッド消費から読み解く、現代のヒットの正体とは?次なるキーワードは「映え2世」

 SNSでの爆発的な拡散をきっかけに、世界的な熱狂を巻き起こしたキャラクター「LABUBU(ラブブ)」。ラブブがヒットした構造は、「みそきん」や「ボンボンドロップシール」といった、ジャンルを問わないヒット商品にも共通しています。なぜ、現代の消費者はこれほどまでに「旬のもの」へ執着し、そして急速に飽きてしまうのか。「MarkeZine Day 2026 Spring」に、ニッセイ基礎研究所で消費文化論を専門とする廣瀬涼氏と、『リキッド消費とは何か』の著者である青山学院大学教授の久保田進彦氏が登壇。社会学とマーケティングの視点から「現代のヒットの正体」を読み解いた上で、2026年の消費の潮流を予測しました。

キャラクターグッズ・カップ麺…「旬のもの」を買い求める人々

 「ラブブ」とは、香港のアーティストであるKasing Lung氏がデザインし、中国のトイブランド・POP MARTから販売されているキャラクター商品のことを指す。

ラブブ
画像出典:PRTIMES

 当初は他のキャラクター商品と同様に販売されていたが、K-POPアーティストのSNS投稿をきっかけに人気に火がつき、世界中のファンやセレブが身につけることでおしゃれアイテムとして需要が高まっていったと言われている。

 セレブが愛用することで一種の投資対象となり、物によっては数百万円単位で高額取引され、入手困難に。その結果、偽物も流通するようになってしまった。

 廣瀬氏が「まったく同じ構造」と指摘するのが、「ボンボンドロップシール」だ。これはサンスター文具が販売する本来1枚550円程度のシールだが、2026年3月時点では数千円から数万円という異常な価格で高額取引されており、偽物まで流通する事態になっているという。

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出典:サンスター文具

 廣瀬氏は、さらにYouTuber・HIKAKINがプロデュースするカップラーメン「みそきん」も同様の例として挙げた。こちらもおよそ300円台でコンビニで販売されている商品ではあるが、再販するたびに売り切れが続出。転売先のフリマアプリには、数千円から数万円で出品されていた。

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株式会社ニッセイ基礎研究所 研究員 廣瀬 涼氏

 この状態について廣瀬氏は「たとえばみそきんであれば、“ラーメンが食べたい”よりも“旬を逃したくない”から買うのではないか。つまり、現代消費者の傾向として、その瞬間を楽しむタイプの商品がとても目立ってきている」と語る。

なぜ熱狂が生まれるのか?増えない収入、増える支出と情報量

 前述した3商品は手に入れることが困難になることで、その価値や欲求が高まっていた。一方、手に入れるまでの過程が簡単になり消費欲求が容易に満たされるようになると、消費のされ方が雑になる傾向があると廣瀬氏は指摘する。

「昔は店頭に足を運び手に入れていた漫画も、今はスマホ上ですぐ読めてしまう。そういった作品は、時間をかけて読まれているかというと、おそらく昔に比べそうではなくなっています」(廣瀬氏)

 その結果ムーブメントは、瞬間的に盛り上がる集合的沸騰(カーニヴァル化)の形式で現れ、消費対象から次の消費対象へと短時間で流動していく。実際に、ラブブを欲しいという声も所有者も、見かけなくなりつつあると廣瀬氏は言及する。

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Googleトレンドで見た、ラブブとボンボンドロップシールの人気度の動向。ラブブは2025年の夏頃をピークに減衰、ボンボンドロップシールも2026年2月をピークに減衰している

 ではなぜ、人々はこのような消費をするようになったのか。廣瀬氏は2つの観点で考察する。1つ目は、金銭事情だ。

 国税庁の民間給与実態統計調査によると、令和4年時点の平均給与は458万円であり、1990年代の平均455万円とほぼ横ばいだ。しかし、東京私大教連「2021年度私立大学新入生の家計負担調査」によると「月平均仕送り額から家賃を除いた生活費」は、1990年の7万3,800円から2021年は1万9,500円に減少。都内の大学生は1日あたりわずか650円で過ごすことになる。さらに生活費だけでなく、消費税や社会保険料、物価など、回避できない負担も増加している。

 収入は増えないが支出は増える環境に加え、SNSを中心とした情報量の増加も、消費のあり方に影響を与えていると廣瀬氏は考える。

 「日々のエンタメから最新のスイーツまで、昔に比べると情報量が圧倒的に増えています。情報が増えるということは、興味を持つものが増えるということ。使えるお金が有限な中で、消費したいもので溢れてしまっている」(廣瀬氏)

 ある種の消化不良とも言えるような現状で、その中でも瞬間的なムーブメントが生まれるカラクリについて、廣瀬氏は「“欲望の三角形”から読み解ける」と続けた。

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高速で他者を模倣し、短命化する人々の欲望

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この記事の著者

宮野 圭(ミヤノ ケイ)

コンサルティングファームにてデータアナリティクスを通じた業務改革に従事する傍ら、ライターとしても活動。エンタメ領域やテクノロジー領域のメディアにて執筆経験あり。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2026/05/21 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50404

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