コミュニケーションは「社員の誇り」と「企業価値」を高める
議論が「外部への発信が社内に与える影響」へと移ると、宮下氏はエンゲージメント向上ループの考え方を紹介した。
新聞への記事掲載後に実施した社内アンケートでは、「自社ビジネスが掲載されて嬉しい」「誇りに思う」という声が多数寄せられるという。外部に向けたコミュニケーションを通して、社会からの期待が社員に返ってくる。社員一人ひとりが自信と誇りをもって事業活動に向き合うことで提供価値を高め、それが高い顧客満足度につながる。この好循環こそが、コミュニケーションの究極の成果だと宮下氏は語る。
宝珠山氏は、「企業の価値を上げないコミュニケーションはやる意味がない」と断言する。将来的に地球全体の熱排出を促進する「SRM(太陽放射管理)」という壮大なビジョンを掲げる同社だが、どれだけ志が高くとも、企業の価値が上がらずビジネスが前進しなければ目標は達成できない。
だからこそ、まずは実証データや公的な評価で「あやしさ」を「信頼」に変え、その盤石な土台の上にビジョンを提示することで、仲間を募っていく。この一連のプロセスこそがコミュニケーションの本質であると語った。
自社のフェーズに合わせた独自の最適解を
両社の話を受け、井田氏は「企業の規模や事業フェーズ、解決したい課題によって、選択すべきコミュニケーションの形はまったく異なる」と指摘する。
キヤノンマーケティングジャパンのように論理的なプロセス管理でブランドを再構築するアプローチもあれば、SPACECOOLのようにメディアへの投資とパブリシティを掛け合わせ信頼を勝ち取るというアプローチもある。
取り組みは違う両社だが、コミュニケーション活動を単なる情報発信に留めず、社員の誇りを醸成し、最終的な企業価値の向上に直結している点は共通している。この共通項は外さずに、自社の文脈に合わせた「独自の最適解」を描く。井田氏はその重要性を説いてセッションを締めくくった。
「大切なのは、今の自社がどの立ち位置にいるかを正しく認識し、目的に対して最適なメディアやチャネルを使い分けることです。本日のセッションが皆さんのヒントになれば幸いです」(井田氏)
