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LINE経由売上が135%に。アプリの行動データが叶えたショップチャンネルのOne to One接客

 「アプリとLINEのデータがつながらない」そんなマーケター共通の悩みを、ショップチャンネルはどう解決したのか。 広告単価の高騰やプライバシー規制の影響で、新規獲得が困難な今、重要視されているのが「既存顧客とのLTV向上」だ。しかし、多くの企業が「アプリ内の行動データが他チャネルと分断されている」という課題に直面している。 本記事では、ジュピターショップチャンネルが、アプリ計測ツール「Adjust」とLINE CRMツール「Ligla」を連携させ、LINE経由売上135%を達成した舞台裏を詳解。リアルタイムかつパーソナライズされた「次世代のLINE接客」の正体に迫る。

新規獲得が難しい時代、LINE×CRMへの注力が盛んに

 TimeTechnologiesの浅利氏は、昨今のマーケティング環境を「新規獲得の限界」と定義。検索結果からサイトへ遷移せずに解決する「AIオーバービュー」(ゼロクリック検索)の普及が、流入数減少に拍車をかけていると指摘した。

 さらに、プライバシー規制による広告精度の低下や、サービスのコモディティ化によるCPA(顧客獲得単価)の高騰が重なり、「新規獲得に依存し続けるモデル」はもはや持続不可能であると警鐘を鳴らした。

TimeTechnologies マーケティング部 部長 浅利 学氏

 既存顧客との関係構築が急務となる中、浅利氏は「チャネルの再定義」を促す。若年層を中心としたメール離れや、アプリのプッシュ通知が埋没・停止されるなど、従来手法の限界が見えてきたからだ。

 そこで浅利氏が提言するのが、生活インフラであるLINEと、顧客データを高度に連携させるCRM施策だ。LINEは他チャネルを圧倒する開封率・クリック率を誇るだけでなく、「いつ、誰が、どこから来たか」を蓄積するハブ、すなわち「簡易的なCDP」としても機能する。

 「たとえば、流入経路に合わせたメッセージの出し分けや、Web上の行動履歴に基づくパーソナライズされた商品レコメンドも可能。これまでのCRMでは困難だった『今、その人が欲しい情報』の提供が、LINEなら実現できます」(浅利氏)

 ユーザー一人ひとりに最適化されたOne to Oneコミュニケーションは、もはや理想論ではなく、LTV(顧客生涯価値)向上のための必須条件だ。顧客の反応がダイレクトに現れるLINEにおいて、先進企業がデータ連携を急ぐのは、「適切なタイミングで、適切な情報を届ける」ことの成否が、そのまま顧客離脱の防止に直結するからに他ならない。

既存ファンを逃さないために。ショップチャンネルが直面した「一斉配信」の限界

 先述の浅利氏の指摘を受け、ジュピターショップチャンネルの相澤氏は「当社でもLTVの向上が新たな指標になっている。新規獲得と並行して、既存ユーザーの継続利用を促す必要がある」と市場変化の実感を語った。

ジュピターショップチャンネル EC本部 Eコマース部 eCRMグループ LINE・アプリチーム長 相澤 将吾氏 

 同社は24時間放送のテレビ通販「ショップチャンネル」を軸に事業を展開してきた。番組視聴後は電話による購入に加え、近年はECサイトや公式アプリの利用も増加。オフラインとオンライン、ふたつのチャネルを併用して長年利用を続ける熱心なユーザーを抱える。この既存ユーザー層に対してメルマガやLINEによる利用促進・販促施策を実施した結果、2024年度には約1,678億円という過去最高売上を記録した。

 しかし、その後の販促強化で壁にぶつかった。メルマガ会員にはセグメント配信を行う一方で、LINE公式アカウント単体では「誰が今、どの商品を見ているか」というリアルタイムの関心を捕捉できず、結果としてすべての友だちに同じ情報を送る「一斉配信」に頼らざるを得ない状況だった。

 「配信コストの面でも、LINEの友だちが増えるほどターゲットを絞って配信することが理想です。しかし、年齢や地域、性別といったLINE公式アカウント上の情報だけでは、ユーザーの行動や関心は理解できません。LINEでも最適な情報をお客様に届けるため、Liglaを導入しました」(相澤氏)

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 Liglaを採用した決め手は、「ID連携前のライト顧客」に対しても、その行動に基づいたアプローチができる点だ。多くのLINEマーケティングツールがLINEのID連携を前提としている一方、LiglaはID連携をしていないユーザーに対しても、サイト内の行動を計測して蓄積し、配信に活用できる

 浅利氏は、ジュピターショップチャンネルと同様の課題を抱える企業は多いと指摘する。「今、何に悩み、何を欲しているか。顧客の微細なサインを察知し、即座に個別のコミュニケーションへと昇華させる。これができなければ、アクション(購入)へ導くことは難しい」とし、顧客の行動をもとにパーソナライズしたLINE活用の重要性を改めて強調した。

 では実際に、ショップチャンネルではLiglaをどのように活用したのか。相澤氏は3つの実践を紹介した。

「サイト内行動データ」を基に設計した3つのLINE施策

 実践の1つ目は「パーソナライズ配信の強化」だ。ユーザーのECサイト内の行動をトラッキングして、そのユーザーに最適な商品をレコメンドする。

 2つ目が、相澤氏が「Liglaならでは」と評する「キャンペーンによる休眠ユーザーの掘り起こし」。ゲーム要素を取り入れてLINE上にルーレットやおみくじ、スタンプラリーを設置し、クーポン付与や割引を行う。

 そして3つ目の「顧客情報をもとにしたCRM配信」では、購入履歴や性別、年齢、メッセージの開封有無などを基にパーソナライズ配信を行う。

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 なお、これらの施策はWebのECサイト上での行動データに基づいて実施していたものだ。しかし、ショップチャンネルのユーザーはアプリユーザーの方がLTVが高い傾向にあり、同社はLTVが高いアプリユーザーの利用促進に注力する方針となっている。ここから「アプリの行動データをもとにしたパーソナライズ配信」を目指してAdjustも巻き込んだ協働が始まった。

現場の負担は最小限。既存ツールを「つなげるだけ」で実現したデータ統合

 アプリ行動の捕捉を個別に実現しようとすれば、専用SDKの実装という「アプリ開発者への重い負荷」が避けられない。浅利氏は、この技術的ハードルがプロジェクトの壁になると予見していた。「相澤さんから開発部門へ依頼する負担を考えれば、マーケティング部門だけで完結できないことが最大の懸念だった」という。

 そこで取り入れられたのが、ショップチャンネルのアプリにもともと導入されていたアプリの効果測定ツール「Adjust」との連携だ。最小限の工数でアプリ内の行動に基づいたパーソナライズを実現できると考えたという。

 「実は、私自身が前職でAdjustを活用していた経験がありました。相澤さんから『アプリの行動を捕捉したい』という要望をいただいたとき、真っ先に頭に浮かんだのがAdjustだったんです。調べてみると、ショップチャンネル様でも既に導入済み。まさに、バラバラだった点と点がつながり、1本の線になった瞬間でした」(浅利氏)

 こうした経緯から、2025年末にAdjustとLiglaの連携機能が誕生。ロイヤリティの高いアプリユーザーに対して、アプリ内行動データに基づいたパーソナライズ配信が可能になった

Adjust Senior Partnerships Manager 谷口 健二氏

 Adjustの谷口氏は、この連携についてその機能性だけでなく、導入負荷の小ささも高く評価する。

 「Adjustで計測している『会員登録』『購入』などのイベントデータをLiglaにつないで簡単に活用いただけます。新たにSDKなどを開発する必要もなく、ダッシュボードの設定手順もシンプル。たった数分で設定が完了します」(谷口氏)

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 では、アプリ内行動データの連携で具体的にはどのような施策が可能になり、どのようなメリットをもたらしたのか?

「カゴ落ち30分後」が勝負。ユーザーの熱量を逃さない仕掛け

 Adjust×Liglaによって実現したアプリ内行動データを活用したLINEのメッセージ配信だが、その強い優位性は、「リアルタイム」の行動をトラッキングできる点にある。アプリユーザーの行動をリアルタイムに捉えて即時に最適なコミュニケーションをとることで、ユーザーにとって能動的な行動と近い、より自然な購買行動の後押しとなり、高いマーケティング効果を発揮するためだ。

 ジュピターショップチャンネルの実践では、特に「カゴ落ち30分後」の通知施策と、レコメンド配信の施策が効果的だったという。

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 「アプリ内の閲覧履歴やカートインの情報も追えるようになったので、カゴ落ち商品をその30分後にLINEでリマインド通知する施策や、閲覧状況に合わせたレコメンド施策を実施しました。その結果、アプリユーザー特有の「購買意欲の高さ」が、リアルタイム通知によって顕在化。 カートリマインドのCV数はWeb比で5倍、閲覧リマインドも3倍に跳ね上がり、大きな成果につながりました」(相澤氏)

 カゴ落ちのリマインドは従来1時間後に設定して配信していたが、「ユーザーの熱が高い30分後のほうが効果的」というLiglaの知見に基づき変更し、効果をさらに高めることができたという。

アプリ内行動データ×LINEがもたらす未来

 今回の施策はショップチャンネルのEC事業全体へ影響をもたらしている。EC事業全体が売上110%と堅調な伸びを見せる中、アプリ経由の売上は123%、LINE配信経由の売上は135%を記録。全体の成長率を大きく上回ったのだ。

 相澤氏は、これだけの成果をもたらした要因を「Adjust×Liglaの連携と、これまで取り組んできたアプリの利用促進施策の相乗効果」と振り返る。この成果を踏まえてショップチャンネルでは、今後もアプリトラッキングの活用を最大化していくことを目指すという。「アプリのダウンロード数も引き続き伸ばしながら、ID連携のユーザー数も増やしていきたい」と意気込みを語った。

 一方で浅利氏は、今回の成果を「アプリ×LINE連携の真価を証明する大きな発見」と評価し、その射程はEC領域に留まらないと語った。

 「たとえば金融アプリなら、本人確認(eKYC)の手順で離脱したユーザーに対し、5分後に『不明点はありますか?』とリアルタイムでフォローを送る。あるいは漫画アプリなら、読了直後の熱量が高いタイミングで次巻をレコメンドする。アプリ内行動とLINEが直結することで、あらゆる業界のCRMが『待ち』から『攻め』の接客へと進化するはずです」(浅利氏)

 アプリ内行動データ×LINEという組み合わせが、カスタマーエクスペリエンス(CX)を根本から変える可能性を示唆した。

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 最後に、同様の悩みを抱えるマーケターに向けて、アドバイスが贈られた。相澤氏は、「課題を見極め、手段から入らないこと」を意識しているという。

 「多くのマーケターが追っているKPIは、来訪者数やCV数の向上が中心で、数字にとらわれすぎて本質を見失いがちです。そこで、一度立ち止まり、どこに本質的な課題があるのか考えるのです。直感的に『こうしたらよさそう』という手段が先に思いつくこともあるのですが、あくまで課題から手段を選ぶようにしています」(相澤氏)

 TimeTechnologiesの浅利氏は、成果を出し続けるための「運用環境」の重要性を改めて強調。「導入後に開発リソースや工数に縛られてしまうのは、本末転倒です。エンジニアの手を借りずとも、マーケティング部門だけでターゲット設定から配信、効果検証までを『自己完結』できること。このスピード感こそが、激変する市場環境で勝ち残るための絶対条件だと思います」と語った。

 Adjustの谷口氏は、「今回のショップチャンネル様の取り組みは、既存の計測データをLiglaと掛け合わせることで成果につながりました。このように新しいデータを取らなくても、使えるデータがあるかもしれません。いかに組み合わせるかが鍵です」と教訓を示した。

 アプリ内行動データ×LINEによるCRMは少ない導入負荷で顧客接点を強化できる貴重な施策だ。新規獲得だけでは成果を上げづらい現在の市場環境において、ますます活用の幅が広がることを期待したい。

「一斉配信」から脱却し、顧客に選ばれるLINE運用へ

 従来のメルマガやプッシュ通知の効果が低下する今、求められているのは「個客」の文脈に寄り添う接客です。Liglaは、Web・アプリの行動データを即座に配信へつなげ、マーケティング部門だけでPDCAを完結できる環境を提供します。

 ショップチャンネル様が選んだ「既存ツール(Adjust等)とのスムーズな連携」や「セグメント配信」の詳細は、下記資料にてご確認いただけます。貴社のLINE活用を次のステージへ引き上げるヒントを、今すぐ手に入れてください。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社TimeTechnologies

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/05/21 11:00 https://markezine.jp/article/detail/50705