検索キーワードから見える、さまざまなユーザー像
以下に、4つのジャンルに関して「ジャンルキーワード」と「具体名称キーワード」の予想検索数について調べたデータを並べる。
緑地の部分は、ジャンルキーワードよりも検索数が多い具体名称キーワードを示し、黄色地はジャンルキーワードの方が、具体名称キーワードよりも検索数が多かったのではないかと推測できる。すなわち、着うた系とショッピング系、車系ジャンルにおいては具体名称キーワードが、資格系ジャンルと旅行系ジャンルにおいては広域なジャンルキーワードが多いことが分かる。

この違いの要因は何なのだろうか。筆者は、ユーザーニーズとジャンルの情報リテラシーの違いによって生じているのではないかと考えている。
ニーズとリテラシーによる検索キーワードの差異
まず、ユーザーニーズの違いが検索キーワードにどのように影響するのか見てみると、着うたサイトやショッピングサイトにアクセスするユーザーは、ダウンロードや購入といった、モバイル上で完結する行動が多いと考えられる。
そのような行動ニーズの高いジャンルにおいては、目的が明確であるため目的のページに早くたどりつけるよう、具体名称キーワードが検索されやすくなっていると考えられる。それに対して、資格系ジャンルや旅行系ジャンルなど、情報収集ニーズが高いジャンルにおいては、モバイル上ですぐに完結するというよりは一般的あるいは広範囲での情報収集の意欲が高いため、ジャンルキーワードが検索されやすくなると考えられる。
ジャンルキーワードと具体名称キーワードの関係
次に、ジャンルの情報リテラシーに検索キーワードがどのように影響されるか見てみる。
車系ジャンルは、前述の通りジャンルキーワードよりも具体名称キーワードの検索数が多いキーワードもあった。車系ジャンルは、車の購入・買取がモバイル上のみで完結するとは考えられないため、モバイル上で完結する行動のニーズが高いとはいえないだろう。逆に、資格系ジャンルと同様に情報収集の意欲が高いのではないかと考えられる。
ではどうして、車系ジャンルの検索キーワードは具体名称が多くなっているのであろうか。それは、ジャンルの情報リテラシーの違いであると考えられる。
資格系ジャンルのユーザーは、漠然と「キャリアアップにつながる資格をとりたい」と考えている場合が多く、具体的な資格名に関してのリテラシーは高くないと考えられる。しかし、車系ジャンルのユーザーは、一般的に車好きな場合が多く、車好きでなくとも車種名をある程度知っている場合が多い。したがって、情報収集の場合であっても、具体名称キーワードで検索をしていると考えられる。
以上見てきたように、ジャンル毎にジャンルキーワードの検索数が多くなるのか、具体名称キーワードが多くなるのかはユーザーニーズと該当ジャンルに対する情報リテラシーが影響してくることが分かった。