キーワードに隠れる意図まで読んだ検索連動型広告を
渡辺氏は、検索連動型広告の手法やツールそのものがめざましい進化を遂げている現状について紹介する。
「Googleのアドワーズ広告品質評価システムに『First Page Bid』が加わったり、ヤフー、マイクロソフトも同様の広告精度を高める試みを導入している。なぜ各社がこうした取り組みを盛んに進めているかと言うと、ユーザーが何を求めて検索してきているのかを、より正確に把握しようと考えているからだ」(関連記事:Google AdWords、検索結果1ページ目に広告を表示させるための指標「First Page Bid」導入)
例えば、同じ『旅行』というキーワードで検索していても、場所や目的、旅行の形態など、その検索意図は人ごとに異なっている。それをより正確に把握するために、過去の検索履歴や行動履歴、または年齢や地域といったユーザープロパティを収集し、多角的に解析していくことが行われている。従来のコンテンツ連動型広告というのは、そこに何か情報が書かれているだけだった。これからの検索連動型広告は、検索してきたユーザーの属性をより細かく掛け合わせて、検索キーワードには現れていないユーザーの意図までを読み取って、最適な情報を提示することが必要だという。
さらに渡辺氏は、自動検索連動型広告運用ツールの進化にも触れる。「昨年後半から、検索連動型広告を自動的に入札するツールが、相次いで日本にも入ってきている。これは特に新しいものではなく、アメリカでは8年くらい前から存在していたのが、ここへ来て急速にわが国でも普及が進み始めた。この背景には、ネット広告が複雑化して、企業側の担当者の負担が大きくなってきたことが挙げられる」
この自動入札ツールは、あらかじめ設定しておいたROIやCPAに合わせて、自動的に広告入札を行ってくれるというものだ。現代の検索連動型広告では、多い場合1,000個以上のキーワードを入札することもあり、これを自動運用にすることで、限られた人的資源を有効活用できること、さらに人手では不可能なきめ細かい設定が行えるといったメリットが生まれるという。
「とはいえ、これを万能の道具として頼り切るのもよくない。こうしたツールは過去の検索結果のみを集めて分析するので、世の中のマクロの動きまではつかみきれないからだ。やはり社会、経済の動向に精通し、より広い視点でマーケットを分析できる人間が使ってこそ、確実な成果が期待できる」と渡辺氏は念を押す。
