コンテンツ利用を促進させるドコモの取り組み
次に、ユーザー層の拡大やインターフェースの工夫などコンテンツの利用促進におけるドコモの取り組みが紹介された。
11月にはiモードのメニューリストを改編し、ジャンルが細分化されたほか、「クーポン」や「キャラクター」といった「ジャンルの再掲」を行い複数の入り口を用意した。ジャンルの上にカテゴリを設け、カテゴリ別にふられたアクセスキーを使ってページ内を素早く移動できるようにもなっている。
また、iモード内での検索はますます利用されており、検索クエリ数はスタート当初から比べると約4倍になったという。音楽、動画、ゲームといった専門検索における検索クエリ数も2倍になり、検索からコンテンツへの流入は確実に増えている。
Eコマースに関しては、携帯から購入したコンテンツや商品の代金を携帯の基本料金と一緒に支払える「ケータイ支払い」の上限を、1万円から2万円に引き上げた。これにより、小額の雑貨や食品以外にも、衣料品やファッション商品の売上が伸びてきている。
コンテンツ課金への取り組みとしては、期間限定で無料利用が可能な「お試しマイメニュー」の拡充を図っている。新しいコンテンツの追加、キャンペーンなどと組み合わせることで、新規ユーザー獲得の効果が出やすいという。さらに、iアプリから、Web接続せずに直接有料登録ができるようにもなった。現在のところ月額課金制だが、将来的にはアプリ単体での課金も考えているという。
二極化するゲームコンテンツビジネス
PV数の増加には寄与しているものの、全体的にユーザー数、有料登録数は横ばいの状態であるというゲームコンテンツ市場だが、そうした中でも、「ヘビーユーザー向け」と「ライトユーザー向け」の2つのアプローチで、さまざまなトピックがあった。
ヘビーユーザー向けアプローチとしては、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーIV THE AFTER -月の帰還-」などゲームの名作・大作のモバイルオリジナル版がユーザーを惹きつけた。また、PCでの無料・アイテム課金モデルが、携帯でも定着してきている。事例として紹介されたのがドワンゴのネットワークRPG「悠久の騎士団」。「アイテム課金モデルをライトユーザー向けにアレンジすることで携帯ならではのコンテンツがでてくるのでは?」と原田氏は考える。
アーケード連動のゲームもユーザーを増やしている。最近では、待ち受け画面などの連動だけではなく、同じデータを使ってアーケードでも携帯でも遊ぶことができるタイトルがある。その例としてスクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストバトルロードMOBILE」などの名前が挙げられた。
ライトユーザー向けのアプローチとしては2年間かけて女性ユーザーを増やし、市場を作ってきたボルテージ提供の恋愛ゲームが紹介された。ホストをモチーフにした恋愛ゲームがホストブームをきっかけに成功し、その後さまざまな切り口が生まれた。今や約50タイトルにまで成長している。しかし、モバイルのユーザーには飽きっぽいという性質があり、今後はさらに異なるアプローチが必要かもしれない。
地図サイトがゲームコンテンツを用意し、短期間にユーザーを集めるという事例も登場している。携帯の位置情報サービスを利用し、自分が旅行などで訪れた先々でサイトにアクセスすることで自身の領土としてその場所を登録していくシンプルなゲーム「ケータイ国盗り合戦」がその1つだ。地図サイトは30代、40代男性がメインユーザー。このようなゲームと言えるかどうかというようなシンプルなコンテンツがうけることもあり、既存のゲームにはとらわれない発想が新規ユーザー層を獲得する鍵になる。
