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四家正紀のネオコミュニケーション遊談

「正力松太郎を知らないと、メディアもマーケティングも見えてこないんです」
チャット遊談で2008年を勝手に振り返る


新聞の生命はグロチックとエロテスクとセセーション

いし
で、この流れは止まらないものとして、さっきの大衆というワードの再定義というか、検証をすべきなんじゃないかなあと思います。そもそも大衆はどこからきたのか。
四家
というと、最近読了された。
いし
巨怪伝』ですね。
四家
この本は僕がいしたにさんに薦めたんだけど、読後の感想をブログで読んでほんとに薦めてよかったと思った(巨怪伝(大正力)というお手本:[mi]みたいもん!『巨怪伝』なしに日本という国の大衆メディアを理解することは難しい:[mi]みたいもん!)。正力松太郎、凄かったでしょ。
いし
すごいというかなんというか。大衆向けメディアの基盤となるものが、ひとりのおっさんの頭から出ていたわけですよね。新聞、テレビ、プロ野球…もちろん実働部隊は他にいるわけですが。で、あれを読んで思ったのは、正力はそれほどたいしたことを考えたわけじゃなくて、どうすれば大衆に受けるか? を徹底したんですよね。
四家
そうですね。「新聞の生命はグロチックとエロテスクとセセーションだ」でしたっけ。それも、虎の門事件の責任とって警察官僚辞めた人が新聞業界に転身して、今の大衆文化を支えている仕組みをほとんど作ってしまったという事実。
いし
左翼運動の取り締まりやってた人がね。あとテレビというと。今は高学歴な人たちが就職しますけど、開始された当時はどうなるかわからないものだったし、映像をやりたい人はやっぱり映画にいくわけで。
四家
ベンチャーですよね、しかも大多数からバカにされていた。
いし
権威がなかったんですよ。正力がテレビというメディアを大衆の権威にしていった。テレビだけじゃない。プロ野球だって、昔は人気も権威もなかった。昔は大学野球なんですよね。
四家
はいはい、六大学のほうが圧倒的でね。
いし
で、あの天覧試合でプロ野球に人気が移行するんですよね。
四家
おお、主役が立教出身だし。
いし
そう。そこもポイントで、そもそも六大学のスターだった長嶋茂雄を獲得して、人気を獲得して、しかも天覧試合でサヨナラホームラン…他から持ってきた権威を元に大衆化を進めて行く。
四家
そうやって新しいメディアであるテレビ、新しいコンテンツであるプロ野球をビジネスとして成立させていった。大衆の欲望を喚起して、これに応えることで、さらに欲望を喚起していった。
いし
欲望再生産の部分を、既得権益にしてしまったところがすごいわけですよね。
四家
新聞では圧倒的部数で、プロ野球では球界の盟主で、テレビでは電波を押さえることでね。
いし
ええ、プロ野球人気も、天皇という権威を電波にのせてから発展しているわけで、既得権益獲得のために、強引に豪快な権威付けをやっているわけです。それまでは六大学の方が人気あったわけですから。
四家
そして六大学も天皇杯ですから。明治神宮球場で開催されるし。で、当たり前ですけど欲望が喚起できなきゃ車も洗濯機も売れないわけですよ。だから正力の話はメディアの話だけじゃなくてマーケやる人にとって、とても重要なことなんです。ぜひ読んで読んでほしい。いしたにさんみたいに一年半かかってもいいから。

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脱・正力? 大衆の崩壊は進む

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この記事の著者

四家 正紀(シケ マサノリ)

株式会社カレン次世代ビジネスリサーチ室長。インターネット広告の草創期からWebマーケティングに携わり、現在はカレンにて次世代販促コミュニケーションについての研究活動と、ブログマーケティング・ブロガーリレーションズ案件のプロデューサーとして活躍。寄稿、講演多数。 ブログ カレン次世代ビジネスリサーチ室ブログ

著書

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/12/26 12:38 https://markezine.jp/article/detail/6178

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