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四家正紀のネオコミュニケーション遊談

「正力松太郎を知らないと、メディアもマーケティングも見えてこないんです」
チャット遊談で2008年を勝手に振り返る


毎日新聞問題から考えたこと

四家
このあたりは、いわゆる「毎日デイリーニューズWaiWai問題」に繋がるところですね(参考:毎日デイリーニューズWaiWai問題 - Wikipedia)。大新聞の英語版ニュースサイトに、あろうことか週刊誌からパクったエロ記事が掲載され、海外に向かって日本人の変態っぷりを伝えるウソ記事が配信されていたと。ネットの中で盛り上がった運動でその実態が次々に暴かれ、ついには謝罪に追い込まれたという事件です。マスメディアの権威が一般のネットユーザーによって破壊されちゃうようなことは、いままでもあったし、ますます出てくるだろうと思ってたけど、いざこうなってみると、すごいなと。
いし
マスの崩壊とネットの拡大の同時進行することで加速しちゃいましたものね
四家
その結果、大新聞のサイトから広告が完全に消えてしまったんですから。
いし
で、さっき消費者というワードであれこれ言いましたけど、実際にはもっといい言葉がありましたね。「大衆」
四家
そっちですね。しっくりきます。
いし
こっちですね。大衆の物言いがログ化されていく時代。
四家
皮肉なことに、新聞は図書館に縮小版が保存してあったり、データベースサービスがあるので、いままでログを残すことにおいても独占的だったんですよ。ところが今回、その残っていたログを、ネットユーザーが丁寧に調べ上げて、マイクロフィルムまでひっくり返して、大新聞の不祥事と、それをごまかそうとした嘘をぶちのめしてしまった。実はネットだけじゃなくて紙でもやってたんですね。
天漢日乗 毎日新聞の英文記事、主婦および看護師を始めとする医療従事者の怒りを買う(その68)7/20付「おわび」は虚偽報告毎日デイリーは紙媒体時代、1997年10月5日号付"WaiWai"で日本語見出しつきの「『受験生』バカ母SEX献身の実例」というアサヒ芸能を出典とする記事を日本人スタッフが執筆して掲載(概報)
いし
ぼくらみたいに、物心ついた頃から新聞もラジオもテレビもあって、普通にニュース流れて、もうそれが当たり前だったじゃないですか。基本的にはみんな同じ事実を報道するし、そこに嘘やマスメディアにかかわる人のの曲解や都合というのが入るとは、思ってなかった。
四家
ギョーザに毒が入っているとは思いもしなかったようにね。今年は食の安全に対する不安がネットでクローズアップされた年でもありました。
いし
それはちょっとおいて。で、実際にマスメディアの取材を受けた大衆というのはいたわけです。事件目撃者でもいいかもしれないですが、要するに1次情報持ってる人がいて、マスメディアの取材を受けてマスメディアに掲載・放送される。で、だいたい取材された内容と掲載・放送された内容って食い違うので、取材された経験があればメディアのからくりみたいなものは体感できた。でも、今はマスメディアの裏側・実態が見えちゃうし、見えたものはログになって共有されちゃう。
四家
ああ、たとえば秋葉原で通り魔殺人がありました。あの時もマスメディアの取材を受けた人たちがブログやmixi日記でその実態を公開していましたね。
いし
そそ、そういうことです。もうひとつ、福田首相退陣を、ぼくは友人のtwitterで知ったんです。で、それをtumblrして、僕の知り合いはそれで知ったw。情報ルートの拡散化はますます進んでいます。
四家
そういうこと増えましたねえ。秋葉原の現場から、一次情報持った人がケータイでアップしちゃうわけです。マスメディアの実態が見えてきて、さらにマスメディアに頼らない情報拡散がここでも増えている。当然、個人であろうと情報の送り手には倫理が求められて、これも問題になるわけですけどね。
いし
だからいま、オウムのテロ事件が起きたとしたら、どうなるんだろうか。
四家
ああ、想像つかないですねえ、あの時とは全く変わってしまってますね。
いし
ですよね、これは去年の話ですけど、渋谷シエスパの爆発事故などで、すでにこうした現象の予兆はあったんです。これが今年の秋葉原通り魔で決定的になってしまった。Ustreamでの生中継もあったし、これはもう止まらないです。
四家
ですね。発信する個人、編集する個人のスピードがどんどん速くなる。
いし
ホント世界は変わってしまったんですよね。
四家
個人的には、長野の件が印象的です。北京五輪の聖火ランナーを巡って、チベット支持派と中国人留学生、さらには警官、取材中のマスコミの間でがらみで起こったトラブルについて、いろんなひとのいろんな動画がどんどんアップされていました。2007年F1日本グランプリでの大トラブルについて、のまさんがYouTubeで公開した悲惨な動画がアクセス数で世界第三位になった話は昨年の対談でしましたけど、もうそんな話がどんどん出てきちゃって。
いし
だからアンディー・ウォーホルの、例の台詞ですね「だれでも15分だけスターになれる世界」。

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新聞の生命はグロチックとエロテスクとセセーション

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この記事の著者

四家 正紀(シケ マサノリ)

株式会社カレン次世代ビジネスリサーチ室長。インターネット広告の草創期からWebマーケティングに携わり、現在はカレンにて次世代販促コミュニケーションについての研究活動と、ブログマーケティング・ブロガーリレーションズ案件のプロデューサーとして活躍。寄稿、講演多数。 ブログ カレン次世代ビジネスリサーチ室ブログ

著書

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/12/26 12:38 https://markezine.jp/article/detail/6178

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