“誰もが使うこと”への不満
そして、MySpaceのビデオ共有サービスを開始するに当たって、MySpaceユーザがビデオ共有サイトYouTubeやRevverにあげたビデオへのリンクを削除しているという話題がブログ界を駆け抜けた。また、News Corporationによる買収などでニュースになったためか、ティーンとの出会いやセックスを狙うメンバーの話のニュースになり、共和党から学校や図書館などからのSNSへのアクセスを禁止する法案が提出された(注2)。さらに、少女がMySpaceのユーザから誘拐、暴行されたということでMySpaceを訴えている。MySpaceはこれに対し、若いメンバーを守るための措置を発表している。
ただ、これらのニュースによってティーンや20代が気づいたことは、MySpaceが一般に知られるような、それも親が見るようなニュースに出てくるようになったことだった。つまり、秘密の楽園が秘密ではなくなったのだ。それだけではなく、MySpaceがメインストリームとなり、“自分独自”の世界を求めていたアーリーアダプター達は、“誰もが使う”MySpaceをすでに見切っているという話も聞かれる。
その現象を語る一例として、Publisher 2.0ブログのScott Karp氏は、Alexaを使ってMySpaceのトラフィックが4月に落ち始めていることを示して、「これは果たしてMySpaceの下落の始まりか」というポストを入れ、結果は12月に検証するとまとめている(注3 )。
成功がもたらした買収劇、これからどこへ向かうのか?
MySpaceは、心変わりが激しく、アテンションスパンの短いティーンや20代に受け入れられ、自分を表現できるサイトであったため、いっきに成長することができた。しかしサイトの「成功」、そしてその「成功」がもたらした「買収」が、今まで作りあげてきた“ブランド”を大きく変化させていく。これは、消費者から見て“自分でのものであるブランド”を考えるのに、興味深い現象である。