日々進化していくモバイル業界、同社の今後の戦略は?
モバイルサイトでの成功、リアルとの相乗効果、他メディアへの展開…最後に今後の事業について聞いた。
モバイルとリアルの相乗効果を生かしたマネタイズ
「弊社の事業は、たまたま最初が携帯電話だったのですが、店舗やイベントもメディアと考えています。代官山にあるコスメのアンテナショップやカフェ、ヨガスタジオ、ビィーティースクールといったリアル店舗についての全国展開は決まっていますし、イベントの海外展開も考えられるでしょう。ほかにも、ショップチャンネルさんとの通販番組など、さまざまな意味でのメディア事業を多角的にやっていきたいです。さらに、自社の強力なメディアパワーを活かしたブランドプロデュース事業やブランド再生事業を積極的に展開していきます。『美肌一族』というコスメ系の商品(シートマスク)は、初日にサイト内だけで6万4千枚も売れました。この商品はサイトの小説マンガから生まれています」
「コスメキッチン」の店内((C)Cosme Kitchen)
初日にサイト内だけで6万4千枚売れたヒット商品

モバイルサービスは過渡期、今後は細分化へ
続けて、モバイルサイトの今後の潮流については、「モバイルサイトは、過渡期だと思っています。他社の“みんなが集まるサービス”は出尽くした感があるので、今後は、趣味嗜好によって派生したニッチサービスにコアなファンが移動する“細分化”の時期が来ると感じています」と予想する。
「携帯の表現力が高まり、情報の発信手段として動画が主流になるかもしれませんが、携帯はあくまでコミュニケーションツールだと思います。ですから、電話とメールを使って、ユーザーに強い印象を与えるサービスは伸びていくと思います。SNSの成功をみると、テレビや雑誌のように“何かを見るためのもの”というより、“誰かと通じ合うもの”と考えたほうがいいでしょう。半年後、1年後に何が流行るのかと聞かれたら、この業界はすごい速度で進化しているので、はっきりとした答えをだすことは難しいです。国内の携帯利用者は、これ以上急激に増えないと思うので、より生活に密着した何かを生み出さなければと思っています」
ユーザーの趣味嗜好、流行り廃りはかなり早いライフサイクルで訪れるので、現在順調なサービスが数年先も存続できるかわからない。今回の取材を通して一寸先は闇の業界で、勝ち抜く術は何か、ヒントを摑んだ気がした。
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