ノートで大企業にプレゼンを繰り返した「変な学生」、社長になる
モバイルソリューションを得意とする、「株式会社NextNinja(ネクストニンジャ)」(以下、NextNinja)。驚嘆すべきは、社長である山岸聖幸氏の行動力だ。同社の設立は、2003年10月だが、当時の山岸氏は早稲田大学理工学部の大学院生。いわゆる学生起業だが、「本当は大学の4年間で起業したかった」と、当人からすれば、これでも予定より時間を要したという。
起業前から大学ノートに企画をしたため、数多くの企業に対してプレゼンに回った経験もあるとか。
「1999年にi-modeが誕生したとき、『これはビジネスになる』と直感して、メールをキーにしたコミュニティサイトの提案をして回りました。サイトをフックに人が集まれば、必ずビジネスにつながると確信したのですね。
ところが企業側からすると、いきなり学生がノート1冊持って現れるものですから『変な奴』と思われても仕方がなく、聞く耳すら持ってもらえませんでした。当時はショートメッセージの全盛期で、メールが取って代わるという考えはありませんでしたから、当然かもしれません。
しかしながら、仮に企画が通っていたとしても、サイトの立ち上げやシステム管理、収益モデルについてはまったく無知でしたから失敗していたでしょうね。いま思えば、それでよかったのかもしれません」
並外れた行動力が大物に認められ、仕事が舞い込む
「逸話」はまだ尽きない。ソフトバンクの孫正義氏の著書に感銘を受けた山岸氏は、講演会場を訪れ楽屋に潜入を試みたことも。当然ながらSPに止められたのだが、その模様を偶然見ていた孫氏から面談を快諾。学生ながらプレゼンを試みたという。ちなみに似たような方法で、パスを持たないにもかかわらず、ビルゲイツの講演にも顔を出せたことも。とにかく、常人では考えられない行動力だ。
「結構、無茶をやっていたのですが、なかには私の考えに共感していただけるケースもあり、そういった企業から仕事が舞い込み始め、次第にモバイルコンテンツのコンサルティングも任されるなど活動の場が広がり、起業に至るわけです」
創業当時の資本金は1円。ノートPCを1台抱えて、知人のオフィスを間借することから起業家人生はスタートした。当然ながら、山岸氏以外に社員はいない。
「当時は知人のツテや大学の後輩にアルバイトに来てもらい仕事をしてもらっていました。その後、軌道に乗るにつれ一般求人も出せるようになり、現在では社員15名にまで成長しています」(次ページに続く)