※本記事内で指すAIサービスとは、対話型AIプラットフォームや画像動画生成AIなどアカウント登録型のサービスを指しており、検索エンジンのAIモードや音声AIアシスタントなどのサービスは除外しています。
AI利用の実態──「AIバブルの熱狂」とは対照的な、生活者の冷静な現在地
ChatGPTが日本に普及し始めた2023年から、今年でおよそ3年が経つ。世間ではしばしば「AIバブル」という言葉が飛び交い、マーケットやメディアでは生成AIへの巨額投資や急激な株価高騰が強調され、あたかもAIが社会のすべてを塗り替えてしまう熱狂に包まれているかのように見える。
しかし、そういった熱気とは対照的に、生活者の利用実態は冷静だ。今回の調査によると日本全体の生成AIの利用率は33%。ブームから3年が経過した今、AIは「誰もが使っている魔法のツール」という段階にはなく、一部の層が熱心に使いこなし、多くの層がまだその活用を模索しているという「日常化の入り口」に立っているに過ぎない。
その内訳を性年代別で見ると、浸透度のギャップが浮き彫りになる。15〜19歳女性の利用率が65%と最も高く、最も低い70代女性の13%との差は約5倍に達する。年齢が上がるほど利用率が下降していく傾向があるが、男性よりも女性のほうがその傾向がより顕著となっている。
※現利用者は調査時点での利用者、離脱層は過去利用・現在停止、未利用層はこれまで一度も利用していない層
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また、現利用者の利用開始時期は、「1年以上前が約4割」「半年前~1年前が約3割」「直近半年間が約3割」と分散。このデータからも、直近で利用者が大幅に増加しているわけではなく、時間をかけて段階的に浸透している状況が見てとれる。
しかし、ひとたび使い始めた利用者においては着実な習慣化が進んでいる。利用頻度は「ほぼ毎日使う」が28%、「週1回以上」の合計が82%に達している。その用途は、「日常のちょっとした疑問の解消・調べもの」が66%でトップ、「仕事・業務(資料作成・メールなど)」が40%、「悩み相談・雑談」も37%の高水準となり、情報収集から感情的な相談までAIは多面的な役割で生活に組み込まれ始めている。
ただ、用途の広がりが見えてくる中でも、利用率が33%という普及段階においては、利用者の「具体的な使い方」はそれほど多様化していなかった。現利用者をわけているのは「何に使うか」という行動の差ではなく、AIそのものへの「心理的な距離感」だった。
「何に使うか」より「どう向き合うか」?4つの心理的次元
調査では、現利用者5,150人を対象に聴取した「AIの利用目的」「AIサービスに対する気持ち」に関する25項目への共感度について、因子分析を用いて統計的に分類した。
作業効率・創造性・自己成長・生活委任など「用途の細かな違い」は分類軸として表出せず、代わりに浮かび上がったのは、AIとの「関係性」に関する4つの心理的次元だ。
具体的な使い方は「行動の結果」に過ぎず、それぞれの利用者が「AIとどのような関係性を築くか」を決める心理的な軸があることを発見した点が本調査の大きな成果である。
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注目すべきは(03)と(04)の関係だ。「03:AIに人格・感情を感じる(擬人化)」と「04:AIはただのツール(道具化)」は一見、対立する概念のように思える。
しかし分析上はそれぞれが独立した次元として存在し、「両方が高い人」も「両方が低い人」も存在する。この2つの軸の組み合わせが、生活者の「AIとの付き合い方」を構造的に解き明かす鍵となる。
